第9期生デモデイ!バラエティー豊かな面々の全プロジェクト大公開! — OPEN PAAK DAY#9レポート

2017.10.30

3か月に1度行われる、TECH LAB PAAKのデモデイ!今回もエンターテイメントやアート、スポーツや医療などさまざまな分野でプロジェクトを進行している第9期生のメンバーの成果発表会が、先月9月29日に行われました。

審査員の方々から、「面白い!」「欲しい!」「社会的に意義がある」との嬉しい言葉をいただいたメンバーも。本レポートでは、発表されたプロジェクトの内容をひとつひとつご紹介します!最後には、審査員特別賞と会場のゲストが選ぶオーディエンス賞も発表していますので、どうぞご覧ください!

今回、審査委員を務めてくださったのは、TECH LAB PAAKの審査員としてありがたいことに、ご常連となりつつある以下のみなさんとPAAK所長の麻生です。いつもありがとうございます!

・澤円さん(日本マイクロソフト株式会社 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長)
・澤山陽平さん(500 Startups Japanマネージングパートナー)
・西村賢さん(TechCrunch Japan Chief Editor)
・麻生要一(株式会社リクルートホールディングス 新規事業開発室 室長)

 

〈プロジェクト紹介(3分間ピッチの部)〉

  1. 『GITAI』中ノ瀬翔さん(GITAI Inc.)

『GITAI』は、人の移動時間の無駄を省くことを目的に開発している、人が乗り移れる分身ロボット。ロボットの頭部に360度カメラを搭載しており、人はVR端末を通してロボットの視点で周辺を見ながら体を動かすことができる。注目すべきポイントは、360度カメラの映像が送られる際に遅延がほとんど起こらないこと。また、最近の進捗として、宇宙空間で360度撮影を行うための人工衛星を開発するSpace VRというスタートアップとの提携が決定したこと、「Singularity UNIVERSITY」のプログラムで世界48か国90組中、唯一「SU Ventures」に採択されたことを発表した。

 

  1. 『IoT/AIで実現するそこが空いているか1秒で分かるデジタルサイネージ』河野剛進さん(株式会社バカン)

バカンが目指すのは、自分が本当にやりたいことに集中できる効率的な世界を作ること。そこで開発したのが、IoTやAIの技術を使い、店舗が空いているか1秒で分かるデジタルサイネージだ。これは、飲食店を選ぶ際に重要視する点として「入店時に待たないこと」が1位であるお客側と、全体の74.6%が課題意識を抱えているという飲食店側、その双方のニーズをマッチングさせるサービスとなっている。◯や×といった記号を表示することで、子どもからお年寄りまで分かりやすいものとなった。現在、横浜駅で実証実験を実施中とのことで、お客からも店舗側からも好評を得ているとのこと。

 

  1. 『personal ear(Invisible Surround Design)』角田英晃さん、関口太一さん(freecle Inc.)

freecleが開発しているのは、コミュニティーとの関係を担保しながらどこでも自由にパーソナルスペースを作ることができる『personal ear』。これは、普段生活している中で周囲の雑音に不満を感じている人が約半数いるとのアンケート調査の中で、特にオフィスに不満を感じている人が多いとの結果から考案したもので、オフィスで使えるようにメガネ型のデバイスにする予定だとのこと。このデバイスにスピーカーなどを実装して、耳を塞がずに音楽を聴いたり、ノイズキャンセルをしたりできる。

 

  1. 『AR Event Platform WARLD』上村隆博さん(株式会社mikai)

GoogleやAppleの影響により第2次ARブームが起こっており、今後さらにネイティブでARを使えるデバイスが増えていくとのこと。それに伴い、リアルとデジタルを連動させたイベントやキャンペーンが爆発的に増えるのではないかと上村さんは予想する。『AR Event Platform WARLD』はゲームやアニメ、映画などのPRとしてアプリ内でARキャンペーンを作成し、宝探しやスタンプラリーといったキャンペーンを展開できるというもの。先日行われた「TOKYO GAME SHOW 2017」とコラボレーションし、ゲームのキャラクターと一緒に動画が撮れるサービスなどを提供したとのこと。

 

  1. 『WIM』亀井潤さん(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)

亀井さんは、パフォーマンス向けの技術や素材を開発しているとのことで、今回紹介してくれたのは人工筋肉だ。人工筋肉はリハビリテーションやスポーツ、ダンスなどのパフォーマンス業界から必要とされていて、特に低価格で軽量、柔らかい駆動体のものが求められているとのこと。そこで亀井さんが開発したのは、軽量で柔らかい駆動体を持ち、少量の電力で動くというもの。今現在使用している原料は高価なものだが、検討中のポリマーの原料を使用したものが成功すれば、今後は低価格のデバイスを作成、展開できると考えているそうで、いずれはさまざまな分野で使用される人工筋肉を目指していくそうだ。

 

  1. グラフィックデザインなど 池村周子さん(3onkey Design)

PAAKのロゴデザインを手がけてくれたグラフィックデザイナーの池村さんは、今回自身がPAAK滞在中の半年間の間に関わったプロジェクト2つについて紹介した。1つは、遺伝子コードを使ってさまざまなサービスを受けたり作ったりできる未来を目指しているAWAKENSの『GENOMIC EXPLORER』というもの。このプロジェクトのUIを担当したとのこと。もう一つは、サブプロジェクトとして2010年から動いていたココナッツのジュースから作った蒸留酒のプロジェクト。今後も、さまざまなプロジェクトを通じてスタートアップの支援をしていきたいと語った。

 

  1. 『統合失調症の完全治療・発症予防』小林宣文さん(株式会社RESVO)

統合失調症は全人口の1%、喘息の患者と同じ数の方が患っているほどのポピュラーな病気の一つ。また、日本国内の年間医療費の約10%が統合失調症の医療費に当てられているとのこと。RESVOは、そんな統合失調症攻略の糸口として統合失調症の一部は免疫障害が原因であることを突き止め、免疫を原因とする統合失調症の血中マーカーを発見したのだそう。これにより、統合失調症の治療において従来は投薬に関する問題点が多かったが、検査キットによって適切な薬を選ぶことができ、副作用の低減と治療期間の短縮が叶うとのこと。この半年間の成果として、シードラウンドにおける資金調達を完了したこと、免疫を原因とする統合失調症の血中マーカーの特許承認が下りたことを発表した。

 

  1. 『レスキューランジェリー』『画像で簡単にできる健康管理&コミュニケーションサービス』本間麻衣さん(株式会社ファンクション)

これからの時代、女性が健やかに暮らす必須ツールは、点の情報を線で捉えたサービスだと語る本間さん。そこで、最初に紹介してくれたのは点であるアナログの商品として開発した『レスキューランジェリー』というもので、災害時の女性の下着や洗濯といった問題を解決する商品。この半年間の間にさまざまな賞を獲得し、ビックカメラでの販売も開始したとのこと。また、現在は女性が生理の深刻な悩みに対して相談する相手がいないとの問題を解決するために、「Instagram」のように画像で直感的に操作できる健康管理アプリを開発中だ。

 

  1. 『シェアトレ』木村友輔さん(株式会社シェアトレ/筑波大学)

子どもたちにサッカーを教えるアマチュアコーチの負担は、計り知れないほど。特に練習メニューの作成に一番頭を抱えているとのことで、年間300時間もボランティアで活動をしているとのデータもある。そこで木村さんが開発したのは、サッカーの練習メニュー共有サイト『シェアトレ』だ。これは、全国の指導者がメニューを動画で投稿し合い共有できるプラットフォームとなっていて、筑波大学の教授とコラボレーションしたコラムも配信し、専門的な知識も学べるとのこと。月間8万PVだったのが、半年間で月間20万PVまでに成長し、民間企業で初めて日本サッカー指導者協会とオフィシャルパートナーとして契約したとのこと。今後は、別のスポーツにも展開を考えているのだそう。

 

  1. 『FOLLY』『WOW! epoch』堺谷円香さん(株式会社Artrigger)

Artriggerが目指すのは、世の中からゴッホをなくすこと。生前はほとんど評価されず、作品も売れないままで亡くなったゴッホ。彼のような存在は、市場価値をリアルタイムで可視化できるようなシステムを作れば、なくすことができるのではと考えたとのこと。解決策として、ポートフォリオ作成管理ツール『FOLLY』を開発。さらに、アーティストと社会をつなぐ窓口として、アートニュースサイト『WOW! epoch』を現在開発中。10月からは、信託銀行と提携して実証実験を開始する予定だ。最終的には、ビッグデータやブロックチェーンといった技術を使ったフィンテック企業を目指していく。

 

  1. 『フォトビーズ!』鈴木啓太さん(クイックピジョン株式会社)

『フォトビーズ!』は、いわゆる「ポケモンGO」の撮影体験版。具体的に言うと、人に頼まれないと難しい撮影や人では撮れないアングルからの撮影のアクセス権がゲットできるというものだ。例えば窓越しや、水槽越しといった撮影が指先一つで可能になるのだそう。一眼レフカメラやドローンなどといったカメラとスマホを連動させることで実現したサービスで、ロケーションの良い土地を持つ個人や組織、滅多に使われていない個人所有のカメラ、撮りたい人、この三者をマッチングする仕組みとなっている。本ピッチでは、実際に渋谷のスクランブル交差点で撮影した画像を紹介してくれた。

 

  1. 『Crowd Realty』川﨑康弘さん(株式会社クラウドリアルティ)

『Crowd Realty』は、不動産に特化したクラウドファンディングサービス。不動産に関連する事業をやりたい事業者と、資産運用をしたい投資家をマッチングするためのサービスとなっている。流行りのソーシャルレンディングとの違いは、投資家が投資したお金を事業者がどのように使うのかが具体的にわかるというところが大きいところ。今回は、京都にある古い町家を宿泊施設に再生するプロジェクトを実施し、3週間で7,200万円の資金調達に成功した事例など、3つの事例を紹介してくれた。グローバル展開のためのスキームを開発済みであることや、数多くのメディアに取り上げられた実績紹介も。

 

  1. 『Job Rainbow』『ichoose』星賢人さん(東京大学)

LGBTの人は、13人に1人。その中の多くの割合が、就職活動で困難を感じた経験があるとのこと。そこで、自身も性的マイノリティーである星さんは、LGBTが不安なく就職活動をするためのプロジェクトを進めている。運営している事業は、3つ。1つ目はLGBT仕事情報サイトである『Job Rainbow』で、現在7万人のユーザーが利用しているサービスに成長したとのこと。2つ目は、一般的な求人情報に加えてLGBTを含むダイバーシティへの取り組みを掲載するサイト『ichoose』で、特にセクシュアリティを記入できるエントリーシートが特徴的だ。わずか2か月で、20%が採用に成功したとの結果が出ているとのこと。最後に、LGBTの当事者がエンパワーメントを通じて平等に競争できる社会を実現することを目指すと語った。

 

※『ペラペラ』Eidlin Michael Kuyaさん(PeraPera KK)は、当日欠席。

 

〈プロジェクト紹介(1分間ピッチの部)〉

 

  1. ものづくりレシピのプラットフォーム『めいくる』加藤太一さん(Make Network Japan)

『めいくる』は「クックパッド」のものづくり版。「光るわたあめ」や「IoTルアー」などの作り方を無料で公開し、必要な材料をサイト内で購入できるという仕組みになっている。また、神奈川県葉山町にリアルな場であるものづくり工房をオープンさせた。

 

  1. 『Monoxer』畔柳圭佑さん(モノグサ株式会社)

モノグサは、Memory Graphの運営を行っているとのこと。これは、さまざまな事象が記憶の観点から結びついたもので、例えば、りんごを見ていろいろなことを想起する人がいれば、「これはバナナだ」と考える人も。これら全てが一つのMemory Graphとして、モノグサでは、インターフェイスとしての単語帳などを提供しているとのこと。現在は、記憶型広告を開発中だ。

 

  1. 『COMMONS OS』河崎純真さん(ZERO OS OU)

『COMMONS OS』は、ブロックチェーンを使った次世代の電子政府システム。実際に南富良野市と提携し、仮想通貨を使った経済圏を作ったとのこと。今の制度の上に、新しい仮想国家を作ることを目指していると語った。

 

  1. 『OneDental』松岡周吾さん(株式会社Dentability)

歯科に特化したサービスを行うDentability。『OneDental』は、歯科医国家試験のアプリで、受験生のシェアは60%。9月28日には、歯科医と学生をマッチングするサービス『OneDental Intern』をローンチしたとのこと。

 

  1. 『セブターン』宮下宗さん(株式会社giobai)

『セブターン』とは、フィリピン留学総合エージェント。金銭的な問題や英語力の問題、就労的な問題から留学を諦めざるをえない人へ向けて、1か月3万円で海外へ挑戦できるサービスを展開している。

 

  1. 『my merit』中根泰希さん(慶応義塾大学)

『my merit』は、自分だけのライフメディア。自分が行った場所や撮影した写真、SNSやカレンダー情報を全て一括で自動的に記録するというもので、その記録を自分自身だけで楽しんだり、他のサービスと連動してより質の高いサービスを受けたりできる世界を目指していきたいと語った。

 

  1. 『Perfomance UP』新垣隆史さん(一般社団法人ゼニスアスリートジャパン)

スポーツ向けのパフォーマンスアップアプリケーションを開発する、新垣さん。パフォーマンスを上げたいアスリートとトレーナーはお互いを見つけることに苦労しており、その両者のマッチングを行っているとのこと。

 

  1. 『Helpush』島尻優楓さん(慶応義塾大学)

自身がいじめを受けた時に相談できる相手がいなかった経験を持つことから、自宅からスマホのアプリで相談できるサービス『Helpush』を運営しているとのこと。NHKの番組と連携し、相談員として協力したいと申し出てきてくれた人は多数にのぼったそうだ。今年中に一つのモデルケースを作ることが目標だと語った。

 

  1. 『ロボットによる手書き風手紙代筆サービス』佐藤博さん(HERO Consulting)

AIを活用したロボットが手書き風の手紙を代筆するというこのサービスで、7期生在籍時にオーディエンス賞を受賞し、再び会員資格を得た佐藤さん。今回は、さらにその後の半年間の進捗を話してくれた。まずは、Webに文章を入力すると一気通貫でロボットが代筆をするシステム開発に成功したことを発表。そして、Maker Faireでは一発で2万リツィート越えし、驚異的にバズったこと、来年の年賀状に向けてクラウドファンディングで販売を実施することを語った。

 

  1. 『Co-LABO MAKER』古谷優貴さん(株式会社Co-LABO MAKER)

実験機器、実験技術のシェアリングプラットフォームを作っているCo-LABO MAKER。ゲストは、リソースがなくても手軽に実験を行うことができ、ホストは、活かす機会のない技術や機器をお金に変えることができるサービスになったとのこと。

 

こうして全23チームのピッチが終わり、審査員による特別賞の発表へ。

 

【TechCrunch Japan賞】

『GITAI』中ノ瀬翔さん(GITAI Inc.)

副賞:Amazonギフトカード3万円分+11月に行われる「TechCrunch Tokyo」への出店権利

 

西村さん:本当に素晴らしいなと。直近のユースケースが見えないところもまた、いいなと思いました。今度はデモをやらせてください、よろしくお願いします。

中ノ瀬さん:ありがとうございます。西村さんが言ってくださったように、僕もそこは悩んでいるところなので、みなさんぜひアドバイスよろしくお願いします。

 

【500 Startups Japan賞】

『WIM』亀井潤さん(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)

副賞:Appleストア ギフトカード3万円分

 

澤山さん:SFの世界のような世界観で、そういうところが非常に面白いなと思いました。また、技術面だけでなくデザイン面もきちんと考えているところもいいなと。今後も頑張ってください。

亀井さん:今の僕の作る技術が3DプリンティングやAIと組み合わさることで、かなりSFの世界に近づくのではないかと思っています。ありがとうございました。

 

【マイクロソフト賞】

『FOLLY』『WOW! epoch』堺谷円香さん(株式会社Artrigger)

 

副賞:カニの詰め合わせセット+澤さんの著作本『マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術』+澤さんのプレゼンレッスン

 

澤さん:我が家にゴッホの候補生がいるので、救ってくれるかもしれないと思ったことと、名前が同じであるという個人的な思い入れが一点。そして、何よりもプレゼンを一番改善したい人です。アートの世界の浮かばれない人たちを救ってあげてください。

堺谷さん:まさか、こんな賞をいただけるとは思っていませんでした。次回は澤さんの特訓を受けてみなさんにちゃんと伝えられるように頑張ります、よろしくお願いします。

 

【TECH LAB PAAK賞】

『Job Rainbow』『ichoose』星賢人さん(東京大学)

副賞:松坂牛&神戸牛 選べるギフト

 

麻生:入居前、サービスが出来る前から応援していました。みなさんも思ったと思うんですが、本当に否定しようがない素晴らしいサービスで、誰かが絶対に解決しなきゃいけない問題だと思うんです。いつかはLGBTという言葉がなくなる世界を作っていってください。

星さん:この半年間でサービスをローンチできて、売り上げ的な面でも立つようになってきて、最後にこんな賞までいただけて感謝しかないです、ありがとうございました。

 

【オーディエンス賞】

『フォトビーズ!』鈴木啓太さん(クイックピジョン株式会社)

『シェアトレ』木村友輔さん(株式会社シェアトレ/筑波大学)

副賞:TECH LAB PAAKプロジェクトメンバー権利

 

こうして、特別賞、オーディエンス賞の発表が終了しました。9期生のみなさん、半年間本当にお疲れさまでした。当日ゲストとして参加されたみなさんは、今回の第9期生によるデモデイは、いかがでしたでしょうか?

参加された方は既にご存知かと思いますが、実はコミュニティーマネージャーとしてみなさんを応援し続けてきた宇都宮が今回のデモデイをもってPAAKを卒業し、新しい道のりを歩き出すこととなりました!

また、PAAK設立当初から所長として活躍してきた麻生も、今回のデモデイをもって所長を卒業することに。新しい所長には、コミュニティーマネージャーだった岩本が抜擢されました!

PAAKは、「TECH LAB PAAK 2.0」として、新しいステージへと踏み出します。今回卒業された第9期生はもちろん、これまでの総勢800名ほどの卒業生、PAAK共々どうぞよろしくお願いします。