第8期生のデモデイ開催!ハイレベルなプロジェクトが出揃う中、賞は誰の手に!? — OPEN PAAK DAY#8レポート

2017.7.7

毎回恒例のTECH LAB PAAKデモデイ!半年間をPAAKで過ごした第8期生メンバーによる成果発表会が、6月30日に行われました。
今回もAIやIoT、ブロックチェーンなどのテクノロジーを駆使したプロジェクトや、社会課題を解決してくれるような画期的なアイディアが数多く出揃い、会場は大盛り上がり!日本中、そして世界へと広まっていくのも遠い未来ではない…そんなプロジェクトがいくつも飛び出しました。
審査員を務めてくださったのは、ベンチャーキャピタリストやメディア、メンターの立場から多くのスタートアップの才能を見出し、世に送り出してきた豪華な顔ぶれの以下の5人のみなさん。

澤山陽平さん(500 Startups Japanマネージングパートナー)
西村賢さん(TechCrunch Japan Chief Editor)
山口豪志さん(株式会社54 代表取締役社長)
澤円さん(日本マイクロソフト株式会社 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長)
麻生要一(株式会社リクルートホールディングス 新規事業開発室 室長)

それぞれの審査員が選ぶ審査員特別賞、会場の参加者が選ぶオーディエンス賞を受賞したチームのプロジェクト内容はもちろん、全18チームの発表内容をお伝えします。

1. 『Team AI』石井大輔さん(株式会社ジェニオ 代表取締役)

『Team AI』は、AIエンジニアとクライアントをつなぐマッチングプラットフォーム。約1,400名のエンジニアが登録しており、50社の企業に紹介を行っている。渋谷の拠点では月に30回AI勉強会を実施。人材紹介フィーを売り上げとし、1,700万円を売り上げる。他の人材紹介業者との違いは、コミュニティーを育てていくことと、ベトナムからの越境人材紹介を行っていること。ちなみに、勉強会に参加することで半年から1年ほどで即戦力となるエンジニアに育て上げたという実績あり。

2. 『Osaif(おサイフ)』森川夢佑斗さん(Luten 代表)

ブロックチェーン技術を活用した、プリペイド型ハウスカードの管理アプリ『Osaif(おサイフ)』。特定の店舗でしか利用できない電子マネーのハウスプリペイドカードは、2020年には最大16兆円の規模になるとの予想。店舗同士によるポイントの統合・交換などが簡単であること、店舗側のアプリを完備し、デバイスへのアプリのインストールのみで導入できること、取引手数料も安いとのことから、可能性があると見込んでいるという。現在は、テスト店舗で実証実験を実施中。

3. 『HACO』東出風馬さん(株式会社Yoki)

家庭向けパーソナル・ロボットの開発から販売までを行うYoki。コンセプトは、画面に依存せず、楽しく扱えて、能動的にサービスを提供する情報端末を作るというもの。今回披露したロボット『HACO』の特長は、一緒に暮らしたいと思えるかわいさがあること。3万円代という安価であること。電源を入れれば会話ができる完成品であること。「Raspberry Pi」を搭載し、ハード・ソフト共にオープンソースでカスタマイズしやすいこと。ロボット好きのコミュニティーをネット上に用意していることの5つだ。

4. 『Kobots コネクト・ロボット』吉田顕一さん(Ktrips 代表)

子どもでも簡単に作って遊べる本格的なロボット『Kobots』。フリスクが3つあれば作れるというシンプルなもので、レゴのようにカスタマイズが可能。AIを搭載しているのでコミュニケーションを取ることができ、APIは簡単に入れ替え組み直すことができるのでプログラミングの勉強にもなるとのこと。子どもが描いたイラストのキャラクターを読み取り、APIのデーターベースに用意した、それぞれ特徴を持たせたロボットの振る舞いのモデルとマッチング。あたかもロボットのキャラクターが早変わりするかのように見えるという驚きの機能も。付録や分冊百科方式といったかたちで販売する予定だ。

5. 『TouchCast』竹内祐太さん

VRブームが過熱する中、触覚もブームになっていると感じている竹内さん。しかし、既存の触覚デバイスは煩雑で高価なのが現状だ。そこで、触感体験をもっと手軽にできないかと誕生したのが『TouchCast』だという。今回紹介したデバイスは、触感の中でも振動だけにフォーカスしたシンプルなもの。「unity」のアセットを配布することで触感コンテンツを簡単に制作でき、イヤホンジャックにつなげばすぐに体験可能とのこと。8月末にクラウドファンディングを実施し、年末には視覚障害者向けの触感にフォーカスしたボードゲームを公開予定。

6. 『Anews』真嶋博巳さん(ストックマーク株式会社)

『Anews』は、AIが組織に最適なビジネスニュースを配信するサービス。企業の生産性向上のために、情報収集を効率的に行える定番のサービスを目指そうと開発したとのこと。毎日10万を超えるメディアから1万件ほどのニュースを収集し、個人のビジネスへの関心はチーム共通であるとの仮説のもと、チームの興味に即した記事を厳選し、AIが文脈を理解して記事をレコメンドするのが特長だ。現在200社に導入しており、直近では経済産業省への導入も決定。リクルートとの共同プロジェクト「MEET SPAAC」の第1期生にも採択されている。

7. 『Walky』山崎健太郎さん、長沼大樹さん、佐々木俊亮さん、岩瀬駿さん、奥村圭祐さん(TITAMAS、東京工業大学 学生)

視覚障害者のためのスマート白杖デバイス『Walky』は、障害物が何であるのか、それがどこにあるのかを教えてくれるというもの。視覚障害者にとってトラックなど、既存の白杖では感知できない高い位置にある対象物を避けることが難しいとのニーズがある。そのことから、画像認識を用いて目の前の障害物を認識し、音声でユーザーに危険を知らせるという仕組みを作り上げた。マイクロソフト社が開催する「Imagine Cup」の日本代表に選ばれ、現在はそのためのチューニング中だ。

8. 『HackforPlay』寺本大輝さん(ハックフォープレイ株式会社)

ハックフォープレイが目指すのは、全ての子どもたちがプログラミングを好きになれる世界。そんな世界を実現するためのゲームが、『HackforPlay』だ。これは、プログラムを書き換えないとクリアできない仕組みになっているゲームで、子どもが遊び感覚でコードを書き換えながら、自然とプログラミングを習得していけるというもの。今回は、ものづくりゲーム『MineCraft』をハックするデモを披露してくれた。これまでに2万人が体験しており、小学3年生以上の子どもであれば自分一人だけでクリアできるのが特長となっている。

9. 『スマートQC』諸岡裕人さん(ユリシーズ株式会社 代表取締役)

食品製造の現場で行われている品質管理業務を効率化するサービス。時間も手間も取られる品質管理の中で最も大変なのは温度記録の管理で、作業帳票は人力で紙に記録をとっているので非効率な上に不正確、という課題があるのだそう。そこで、スマートフォンやIoT機器を利用することで、より正確で簡単にチェックを行うことができる『スマートQC』を開発したとのこと。2020年までにHACCPが義務化されることから、大規模な市場が期待でき、まずは帳票数の多い惣菜市場の中の給食市場を狙っていく予定。外国人労働者の方への導入も期待できるとのこと。

10. 『Visual Creole』和田夏実さん(慶応義塾大学大学院 学生)

『Visual Creole』を開発するきっかけは、和田さんのご両親が聴覚障害を持っていることから手話を第一言語として育った背景があるとのこと。手話は、位置・かたち・量・質感・変化を表すことができる視覚言語で、本プロダクトはその特性を用いて自分の画像に重ねるようにイラストを描き、手の創造性を引き出すツールになっている。また、映像からリアルタイムに対象の動きをデータ化できる「openpose library」を導入したことで、より多くの手話を解析できるように。外国人の方とも気軽にコミュニケーションを取ることができ、手話の表現の可能性がどんどん拡張していく世界を目指していくという。

11. 『srt.js』『Picognizer』栗原一貴さん(津田塾大学 准教授)

APIのないデバイスやコンテンツを外付け・拡張する開発を可能にし、全てのコンテンツとIoTをつなげたい…そんな思いで開発しているのが、『srt.js』と『Picognizer』だ。『srt.js』は、YouTubeの映像に合わせて「JavaScript」を実行することで、映像コンテンツを拡張できるというもの。『Picognizer』は、非機械型JavaScript電子音認識ライブラリで、電子音を認識したデバイスがそれをトリガーにIoTの世界につながり、ゲームハックや家電ハックを可能にするというもの。進捗として、ゲーム開発会社との共同研究契約を結んだことを発表した。

12. 『GitLocalize』近澤良さん(Locki, Inc. Co-founder & CEO)

gitリポジトリのための継続的翻訳ツール『GitLocalize』。開発を始めた背景には、IT関連のプロダクトの多言語化をする場合、頻繁に言語翻訳の更新をするという労力が伴う課題があることと、チーム内でも制作プロセスを複雑化してしまっていることが挙げられるとのこと。本プロダクトは、GitHubのレポジトリと連携することで変更を自動的に検出し、どこを翻訳すればいいのかを教えてくれる、現状を打破するサービスになった。既にベータ版をローンチ済み。今後は全てのプロセスを自動化し、開発チームが言語のことを全く知らなくても、『GitLocalize』を利用すればサービスを簡単に多言語化できるプロダクトとして展開していく予定だ。

13. 『ドローン自動運転用地図開発』小田雄一さん(yodayoda, Inc 代表取締役CEO)

現在のドローンは自動飛行をする際にGPSに依存しているが、それを超える位置情報を作り出すことがyodayoda, Incの目標。そこには、地球上のどこでもドローンを使える状況にしたいとの理由があるのだそう。今回紹介したのは、現状では人の手で行っている橋梁やビルなどの点検作業を、ドローンを活用して一気通貫で行うことができるプロダクトだ。具体的には、ドローンが撮影した画像からクラックを自動で検知し、データーベース上に記録して簡単に管理ができるというプロダクトを開発中だ。

14. 『Air Buy&Check』高野勇斗さん(株式会社チャプターエイト 代表取締役社長)

『Air Buy&Check』は、無人宿泊施設向けのコンシェルジュサービス。具体的には、民泊施設にチラシを置き、宿泊者は印刷されたQRコードを読み取ることでレストラン・チケットの予約、タクシーの配車サービスなどを受けられるというもの。現在5,000物件ほどに導入済み。将来的にはセルフチェックイン、ビデオ通話本人確認などを通じて、スマートフォンだけで誰もがホテルを運営できる仕組み作りを目指す予定とのこと。

15. 『ディスレクシアの方のためのオンライン動画字幕読み上げシステム』應武双葉さん(津田塾大学大学院)

ディスレクシア(識字障害)の方のために、人工音声が洋画などの字幕を読み上げることで動画鑑賞をサポートする本プロダクト。ディスレクシアの方の中には聴覚障害を併発することも多いため、スピードや音声の調節も可能。3月には学会で登壇発表を行い、ベストペーパー賞の候補にも選出された。現在は、インターフェイスの改善に取り組んでいる。

16. 『おばけパズル』井上幸人さん

『おばけパズル』は、一見子ども向けの11ピースパズルに見える。しかしその実態は、微妙なかたちと表裏の区別がつかないことから、大人でも完成させるまでに最長24分という時間がかかったことがある、難易度の高いパズルだ。木製でありながら、正解の位置ピースをはめるとおばけの目が光るという仕掛けが施されている。

17. 『ToiTech』田代尚己さん(東京工業大学大学院)

開発途上国に、衛生的で快適なトイレ空間を届けるという使命のもと、設置型の手動ウォシュレットシャワーを開発しているとのこと。電気・水道施設のないところで使えるように仕組みはシンプル。タンクに水をためて空気を入れることで、空気圧を水圧に帰るというものだ。インドの村にある家庭約200世帯にテスト導入してもらい、いくつかの課題が見つかったところだという。

18. 『MagicKnock』伊藤輝さん(慶応義塾大学 増井俊之研究室)

『MagicKnock』は家庭のあらゆる机や壁などの安定した平面に設置して、その机や壁に対するノックやタップをデバイスが検知。そこから信号を送り、テレビや家電を操作できるというもの。また、微弱信号検出ICによってノックした際の振動により微弱な発電で、論理回路のスイッチングを実現。ほぼ無電源でノックを検知することが可能で、今後はカード型デバイスになる予定だ。

全18チームの成果発表が終わり、審査員による審査が行われました。レベルの高い18チームの成果発表に、審査員の方々には、いつになく賞を選ぶのに悩んでいる様子が見受けられました…。

そして、いよいよ審査員特別賞の発表へ。

【500 Startups賞】 『HackforPlay』寺本大輝さん
副賞:屋形船ペアご招待プラン

澤山さん:レベルが高くて選ぶのが大変でしたが、僕は根っこがエンジニアなので、彼を応援したくなりました。それに、発表中に彼がすごく楽しそうで、面白いものを世の中に広めたいという気持ちがすごく伝わってきました。本当におめでとうございます!

受賞者:まずは、PAAKにありがとうと言いたいです。それというのも僕は石川県在住で、以前まで東京に来るといつも居場所がなくて漫画喫茶にいました(笑)。PAAKで仕事ができるようになったことでここまで来られたと思っています、ありがとうございました!

【TechCrunch Japan賞】 『TouchCast』竹内祐太さん
副賞:特選!日本三大ブランド和牛 煌コース

西村さん:やっていることは非常にコアで後日改めて取材したいと思ったんですが、実装がシンプルでプラクティカル、僕の好みでした。また、メディアの立場からするとある意味記事にしやすく、面白いと思ってもらいやすいプロダクトだと感じました。アメリカのTechCrunchにつなぎますので、ぜひグローバルに進出していってください!

受賞者:発表の時のデモで動かなかったので、今回は諦め気味だったのですが、選ばれて良かったです!今はしっかり動きますので、ぜひ見に来てください。ありがとうございました!

【54賞】 『スマートQC』諸岡裕人さん
副賞:Amazonギフトカード 3万円分

山口さん:古い体制の業界を技術で変えていくというプロダクトがとても好きなので、今回選ばせていただきました。B2B2Bの業界をこじ開けていくところを、ぜひ見てみたいなと思います。おめでとうございます!

受賞者:やりました!口で言うほど簡単なことではなくて、自分の中では10年ほどの戦いになると予想しています。でも、デモデイという大きな発表の場で賞をいただけたことは励みになります。何より、裏で頑張ってくれているエンジニアの励みになると思います。

【マイクロソフト賞】 『GitLocalize』近澤良さん
副賞:極上!天然本まぐろ詰め合わせ&澤さんにマイクロソフトテクノロジーセンターを案内してもらえる権利

澤さん:日本には言語の壁があって、いいことをやっている人たちがアピールできないというのが問題です。Lockiさんはテクノロジーの分野から言語を超えたサービスを提供していくということで、とてもニーズがあると思っています。おめでとうございます!

受賞者:このような賞を受賞できて、大変光栄です。6か月間PAAKにはとてもお世話になって、ここがなかったら今、どうしていたかわかりません(笑)。ありがとうございます!

【TECH LAB PAAK賞】 『Visual Creole』和田夏実さん
副賞:Apple Storeギフトカード 3万円分

麻生:最初は聴覚障害者向けの解決ソリューションとして評価していたんですが、今日のデモを見て、もはや聴覚障害者向けと言うよりも全ての人のビジュアルコミュニケーションを豊かにするような可能性を感じています。これからも、頑張ってください!

受賞者:スポンサーにも恵まれて、ここまで来ることができました。まずは、みなさんにプロダクトの内容を聞いてもらえたことが本当によかったです。ありがとうございました!

最後は、会場の参加者の投票で選ばれたオーディエンス賞の発表へ。今回は、接戦の末に2組のチームが選ばれました!

【オーディエンス賞】
『Visual Creole』和田夏実さん

副賞:TECH LAB PAAK プロジェクトメンバー権利

『MagicKnock』伊藤輝さん
副賞:TECH LAB PAAK プロジェクトメンバー権利

受賞者(和田さん):何よりも、みなさんにきちんと伝わったことがうれしいです。12月にはまた展示を行います。技術が整ってきつつあるので、今後もどんどん前に進んでいきたいと思います。

受賞者(伊藤さん):1分間という短い時間の中で、思ったことを全部伝えられなかったと思っていたんですが、ここにいる方たちはやっぱり筋の良い方だなと思いました(笑)。PAAKではいろいろな人に接して、おかげで一歩大人に近づくことができたと思っています。引き続き、頑張っていきますのでよろしくお願いします!

オーディエンス賞のお二人は、何と同じ大学の先輩と後輩同士!この先6か月間、PAAKの会員権利が続行します。私たちも全力で応援させていただきたいと思います。そして、全18チームの8期生のみなさん、本当にお疲れさまでした。

私たちTECH LAB PAAKの願いは、卒業生のみなさんのプロダクトが世の中にもっともっと広まっていくこと。これからもPAAKは、新しいイノベーションが生まれ続ける場であり続けます。どうぞ、ご期待ください!