コードを書かずにイベント公式アプリの作成が可能な『EventHub』――丸山由莉さん、山本理恵さん、井関正也さんインタビュー

Co-Founder | 共同代表 丸山由莉さん
Co-Founder | 共同代表 山本理恵さん
エンジニア  井関正也さん
EventHub

イベント公式アプリが誰でも簡単に作れる時代がやってくる

まずはみなさんのプロフィールと経歴を教えていただけますか?

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私と丸山が以前からの友達同士で、彼女が元々コンサルティング会社に新卒で入ったあとにベンチャーに行って、私も別の会社なんですが同じく新卒でコンサルティング会社に入ったあとにフリーランスで働いて、ベンチャーの業務委託をしていました。

井関なんですが、彼は今、大学院生で(2016年3月現在)今月卒業予定で、いろんな企業から内定をいただいている中で、4月からうちに来てくれるという新卒入社という、そんな3人からなるチームです。

で、私と丸山が、以前から共通の友人を通しての知り合いだったんですが、よくコンサルティング会社にいたころから、時々顔を合わせる中で、何か面白いことしたいねーじゃないですけど、たまにカフェに行って、こんなのがあったらいいのにねーとか、あんなのがあったらいいのになぁみたいなことをよく話していたんですね。

その中で、あ、これ面白いんじゃないかというアイデアが見つかって、当時私はフリーランスだったこともあって、それを具体的に進めてみたのが、現在進めているプロダクト『EventHub』になりました。

具体的にいうと『EventHub』は、イベント関連のプロダクトなんですが、コードを一切書かずに簡単にイベント公式アプリを作ることができるサービスです。WEB管理画面から、イベント用の素材や文言を入れるだけで、誰でもイベント公式アプリを制作することができるため、来場者のイベント体験を容易に最大化することが可能な上、イベント自身の効果測定も可能です。

私たちはイベント業界で働いていたわけじゃないので、プロダクトについては、それまでの仕事の流れで始めたわけではないんですが、ただ、たとえば丸山はテック系のイベントにたくさん参加していて、実は井関と彼女の出会いもそのイベントだったという経緯があるんですね。

具体的には、何のイベントだったのですか?

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TechCrunchさんのハッカソンです。彼は学生で参加し、私はベンチャーの事業開発という立場で参加していたんですけど、だいたいTechCrunchさんのあとって飲み会になるんですが、そこで話をしたのがきっかけですね(笑)。

コンサルティングが専門だった方々がなぜIT系のプロダクトを選択したのでしょう?

元々、私のほうの仕事が、日本の戦略コンサルだったので、そこで扱っていた領域が、かなりIT系だったというか、IT×リアルのお客様なので、アプリであったりWEBであったりというサービスには従事をしていて、そのあともIT系のベンチャー企業でカップル専用アプリのサービスを見てきたので、その方向でプロダクトを進めるということには特に違和感もなく始められましたね。

アメリカの大学に通っていた頃に経験したことが起業のきっかけに

なぜ今までの会社を辞めて、起業に行き着いたのでしょうか?

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たぶんおのおのの思いがあると思うんですけど、私の場合は、大学がサンフランシスコのシリコンバレーの近くのバークレーというところだったんですけど、そこにいてITのスタートアップという世界に触れて面白そうだなと感じていたのと、日本を出てアメリカにいったからこそ日本のよさがわかったというか、日本を元気にしたいなという思いが大学にいた頃からあって、日本という市場で人と人をつなげて何か面白いことをするビジネスをしたいなというのを、もわっと大学の頃から思っていて、ただ、ビジネスの勉強をするためにいったんコンサルティング会社に入って3年ぐらいは学ぼうかなと最初から思っていたので、そういった意味では最初から起業はしたいなと思っていました。

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私も似ている部分はあるんですが、私の場合は何も考えずにコンサルティング会社に入って、恐らく大学生の頃から何も考えずに就活していたタイプなんですね(笑)。当時、サンフランシスコにあるコンサルティング会社に入社したんですが、コンサルティング会社というと、日本では“マッキンゼー”みたいな感じですごーいってことになってたと思うんですけど、その頃、2011年ぐらいのサンフランシスコはバフルのような雰囲気で、私のように会社員として働いているのはマイノリティだったんですよ。バーとかに行くと、「あなたの立ち上げたサービスは何なの?」って聞かれて、「コンサル担当です」というと、何なのそれ? っていう世界だったんでね。そんなことから、起業をしている人を意識するようになって、自分で何か立ち上げるのが楽しそうだなと思っていたんですね。それで自分はITじゃなくてもなんでも本当に小さなところでやりたいなというのが芽生えたんですね。

そこから私は日本に引っ越すことになったので、コンサルティング会社の出向制度を使って、NPO、NGOに行ったんですね。ま、それこそ立ち上げて3ヵ月のこれから事業をやっていきましょうという教育関係のNGOだったんですが、そこですごいカオスな感じの体験ができて、私、個人的にそれが好きだったんですね。ただし、ITじゃない労働集約型のNGOだったので、面白いんですけど、スケーラブルじゃないというか、×ITで立ち上げれば、もっと伸びるんじゃないかなということを思い始めたんですね。その経験から、「教育の世界でも、ITの力を使ってよりスケーラブルな形で事業ができないか」という視点も持つようになって、ベンチャーへの関心も徐々に増えていきました。

それからそこをやめてフリーランスで働くようになって、自分でお仕事をもらって自分の足で立って仕事をすることが、すごく楽しくて自分に合ってるなと感じるようになりました。

そんな中で、丸山との出会いがあって、何も考えていなかった大学生から、徐々に立ち上げの楽しみと、ITの楽しみと、そして自分でやっていく楽しみというのが重なって、そして今、ここにいるという感じですね。

そこから会社を設立された経緯を教えていただけますか?

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私のほうはテック系ではないんですが、結構、人材系のイベントに、当時、年に6回、7回ぐらい、出展者のほうで参加していた経緯もあって、いわゆるイベントとしてはたぐいは違うんですけど、イベントのアナログ的な部分に生じる問題点だったり、本来であればそれこそ井関と丸山のような人生に関わる出会いみたいなものだったり、人材の採用という意味でも素敵な社員候補の人と出会うという、ま、出会いが詰まっている場所なのにも関わらず、それがすべてアナログなのであまり効率的じゃないよねっていう話を常に丸山と2人でしていたんですね。

それこそ私も丸山も大学がアメリカだったので、アメリカにいた当時のことを思い返してみれば、音楽のイベントや就職活動のイベントでも、結構、モバイルのツールがそこを手助けするというのを一時的に見てきた経緯があったので、それがひとつ面白いんじゃないかという話からいろいろ考え始めて、実際にプロダクトを進めるにあたってエンジニアどうしようと思ったときに、そういえばTechCrunchで会った優秀なエンジニアがいたなぁというのを丸山が思い出して、Facebookで井関を見つけて声をかけて、それでチームが3人になりました。で、井関が参加した時点で開発を始めたんですが、それが2015年の9月でしたね。

プロダクトの内容自体はその2ヵ月ぐらい前から始めていたんですが、井関が合流することになったのが8月末、9月ぐらいという感じですね。で、元々は私と丸山は他に仕事があったので、それに合わせて徐々に減らしながら、去年の11月ぐらいには全員フルコミットで始めて、今年の2月に登記しました。

そんなお2人に合流することを決めた井関さんのお気持ちをお聞かせください。

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はい、僕はエンジニアとして参加することになったんですけど、なんかそのエンジニアとして、ずっと生きがいとして考えていたのは、人の感動を作るようなサービスを作ることができたら一番いいなぁと思っていました。

人の感動って細分化すると、人数×ひとりあたりの感動力みたいなことかなと僕自身は思っていたので、その総和をどんどん大きくするようなものを作っていきたいと思っていて、大勢の人が使っているようなものを改善するということがやりたくて、最初の頃はアカデミックな領域で活動したくて、Firefoxというブラウザのコミッターをやっていました。そこで小ちゃいバグを直すということをやって、いっぱい直してあげると、よく貢献してくれたね、みたいなことで与えられるものを生きがいにしていました。
ずっとそういうのをやっていたんですけど、あるタイミングでベンチャーのお手伝いをしてみたら、使ってくれる人の人数や人の感動の総量としては少ないけど、ひとりあたりに与えるインパクトが大きいときって、なんかすごい自分としても楽しいなぁということを感じたことがあって、そこから少しベンチャーというものに興味が沸き始めたこともあって、で、なんかちょうど声をかけてもらったタイミングもよくて、ぜひ参加させてくださいということになりました。

今は、総量というよりもどれだけ人を感動させることができるか、みたいなことがやってみたいという気持ちが強いですね。

それでは現在のプロダクトを開発するに至った経緯を教えてください。

プロダクトについては、やはり2人で最初に話していたように、何か面白いことをやりたいよねというのと、お互いに興味のある「人」という領域で、たとえばマッチングであったり、最近流行のセレンディピティみたいな、偶然なんだけど素敵なそれ以降につながるような出会いっていうところをキーワードに、何かできないかを模索して、実は最初に出てきたアイデアというのはウェディング領域でのマッチングのアイデアだったんですよ。
具体的にいうと結婚式の二次会のマッチングサービスだったんですけど、二次会というひとつのテーマ、ひとつのトピックで集まる人たちが交流できるようなプラットフォームが作れたら面白いのにねって話していたんですが、そこから市場の規模を計算したり、インベスタと話していく中で、それって別に結婚式に限った話じゃなくて、もうちょっと視点を上げてみると、それこそTechCrunchのような大きなイベントもそうですし、音楽フェスだったり、で、まぁオリンピックも開催されるという勢いのある中で、リアルな部分にターゲットを広げて、そこに集まる人たち、人と人、人とコンテンツが、よりスムーズにマッチングできるセレンディピティな体験を提供するっていうのがすごく面白いんじゃないかなという結論になりました。

ま、そうやっていろいろ見てみると、海外ってそう事例が進んでいるので、いくつか参考になりそうな企業があるので、そういったところにヒアリングをしながら、日本でも行けそうだねという感覚をつかみ、もう実際に早く作ろうっていうことになって、現在に至ります。

このイベント領域というところでいうと、現在、決済、チケッティングのプレイヤーさんがたくさんいらっしゃるんですが、こういうのもアメリカを見ていると、すごく進んでいて、すでにかなり前から決済等に関するサービスが先発で出ていて、何年かのタイムラグを経てアジア圏にやってくるみたいな「タイムマシン方式」になっているんですけど、アメリカでもすでに我々がやろうとしている「当日アプリ」というのが決済の次にポコポコと出てきていているので、日本でもスマートフォンが普及し、誰もが普通に使うようになってきているので、タイミング的にも、私たちのやりたいという思いもマッチングしているので、やるなら早くやろうというのが結論です。

根幹にあるコンセプトはセレンディピティ

それではTECH LAB PAAKに参加するいきさつについて教えてください。

TECH LAB PAAKに応募しようと思った当時といいますか、半年ぐらい前は、チームもできてようやく私たちのアイデアが固まったという段階だったので、「よし、やるぞ」っていう気持ちが高まってきていたんですが、よく考えたら、あれ? どこで作業するんだっけ? みたいなことがまず一番の問題でもあったんですね(笑)。

ベンチャーなので本質的な物以外にあまりお金をかけたくないというのが正直あって、最近のシェアオフィスとかの相場を見ていく中で、都心は高いと思いながらも、とはいえ、営業等もしなくちゃいけないので、理想的には渋谷のような立地条件のいい場所で、かつエンジニアが働ける環境がないのかしらと探していたところ、たまたま知り合いからTECH LAB PAAKのことを聞いて、まずこの場所で、この施設を半年間も使わせてもらえるなんてこんなに素敵なことはないし、それにプラスアルファ、まわりのベンチャー支援のメンターの制度も整っているので、これはぜひ参加したいと思いました。

それとTECH LAB PAAKさん自身もたくさんイベントを行っているので、私たちのプロダクトをイベントで使っていただけるといったこともできて、うれしい限りですね。

またメンバーさんの中に、私たちと同じイベント領域のプロダクトをやっていらっしゃる方もいて、同じ方向を向いていますけど、競合というよりもむしろ情報交換ができたり、そのほかの方々でも、同じ起業家という立場から、いろいろ聞いたり、教えあったりみたいな交流もすごく多くて、これはたまたまなんですが、あるイベントで私たちのアプリを導入したときに、特定のデバイスでの不具合があったんですよ。そしたら、たまたまそのデバイスを持っている方がいらしたというか、Androidのデバイスをたくさんお持ちの方で、それらの知見もある方だったので、すぐその場でデバイスをお借りしてデバッグしたみたいなことがあったり、アドバイスいただけたりといった交流までさせていただいて、非常に助かっています。

これから起こしていきたいイノベーションがございましたら教えてください。

そういう意味でいうと、僕らのコンセプトはセレンディピティということになると思うんですが、エンジニアとしては、今は、人のマッチングの最適化、コンテンツとの最適化ということをやっているんですが、自分自身普通に生きていて気づかないような価値観であったり、人のそういう出会いとかというのをITの技術を使っていろいろつなげられる時代なので、その情報を使って、どんどんその価値や機会を提供できるような仕組みを作っていきたいと思いますね。

自分自身の人生を振り返ったときに、大きなターニングポイントがいくつかあったと思うんですが、それぞれのポイントで影響力のある人に出会って感化されて、あー、こういう人になりたいなとか、この人がこんなふうに人生を歩んでいるんだったら私もそんなふうにチャレンジしてみたいなというのがすごくあったんですが、とはいえ、そういう人なのか情報なのか、そういうものに必ずしも会えるとは限らないというか、リアルだけでは制限されてしまうと思うので、それをWEBというもので、ま、完全にはリプレイスできないまでも、ターニングポイントのきっかけを提供できるようなプラットフォームになりたいですね。それは今はイベント領域でやっていますけど、もしかしたら広告領域に手を広げるかもわからないし、他の領域になるかもしれませんが、このマッチングという軸はぶれないようにやっていきたいと思っています。

結構思うのが、今回このプロダクトが面白いと思うひとつは、ネット上だけでは終わらないリアルな部分とのつながりにあるところだと思っていて、これまでのベンチャーでよくあるプロダクトってほとんどがネット上で完結してしまうものばかりなので、それがたとえ便利な物でも自分の父親にまったくリーチしなかったりとか、正直、結構限られたバブルの中でのものが多かったと思っています。で、イベント領域の大きな課題というのが、いかにデジタルツールがリアルの場で、あたかもその存在に気づかないぐらい、すごい使い勝手がよく、当日の体験を最大化してくれるという点がチャレンジであり、難しい点でもあり、面白い点でもあるところだと思うんですよね。イベントってそれこそ20代の人だけが来るわけじゃないし、見本市だとか、展示会、カンファレンスとなると、ビジネスマンも多いわけですから、これまでのネット完結型だけじゃなくて今後はそういうリアルの場でイノベーションを起こすべきだと思います。

このプロダクトに興味を持った方にメッセージをお願いします。

私たちが作っているプロダクトって、イベントになかったものといえばなかったものなんですね。今までは、それは紙でできていたものであり、すごいきついことをいうと、なくてもイベントは運営されるものだと思うんです。
でも同時に思うのは、私たちはイベントの参加者として一時的にこういうツールを使ったことがあって、そこで思うのが、イベントにはたくさんの人だとか、たくさんのコンテンツがぎゅっと詰まっているわけで、このようなプロダクトを作ると、自分が探しているもが探しやすくなったり、他にどういう人が来ているのか、どこで何があるのかということがわかるようになってくると、思っている以上にイベントの充実度が増しますし、参加者の満足度が高まるんですね。

一度それを体験する、その体験の価値が貴重な物だというのがわかって、どんどん普及していくものだと思ってます。これって海外では普通になっているんですね。もうあたり前の世界になっていて、一度あたり前になると、もう紙には戻れないみたいなことになるんですね。

日本はまだ紙のほうが主流ですし、そのようなツールがあるのもわかるけど、まだリスクが高いとか、なんだかよくわかんないよねと、躊躇しているイベント運営会社さんがいらっしゃるのもわかります。ですのでメッセージとしては、少しでも関心があったらぜひお声がけいただいたりとか、お話したいなと思っています。やっぱり今までにないものだからこそ、ぜひともお話ししたいですね。そういうことから輪を広げて、これが1年、2年後に、日本でもあたり前の世界になるようにしていきたいなと思っています。

ありがとうございます。

【EventHub公式サイト】
http://www.eventhub.jp/

【事例:SLUSH ASIA公式アプリ】
・iOS:
https://itunes.apple.com/us/app/slushasia2016/id1098051837?l=ja&ls=1&mt=8
・Android:
https://play.google.com/store/apps/details?id=org.slushasia.slushasia2016
・web:
http://slushasia2016.eventhub.jp/

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