ミクシィから独立した開発者向けツール『DeployGate』が目指すもの――藤崎友樹さんインタビュー

CEO 藤崎友樹
COO 安田一斗
エンジニア 今井健太
株式会社デプロイゲート

ミクシィで立ち上げたDeployGateの譲渡を受けて独立

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まず藤崎さんのプロフィールを教えていただけますか?

元々、私自身は開発者で、大学の研究でももちろん開発をしていたんですが、開発そのものは学生の頃から趣味で色々やっていて、趣味のほうでWEBとかゲームの開発をしていたんですね。その中で、WEBの開発というのをちゃんと仕事としてやってみたいなぁという思いがあって、新卒の就職活動の時にはWEB開発の会社を探していくんですね。

その当時、ミクシィを自分自身がユーザーとしてお世話になっていたというのがあって、ま、ここで何かお手伝いができるんじゃないかという気持ちで、2008年に大学院を卒業し、ミクシィに新卒として入社しました。

会社を設立された経緯を教えていただけますか?

入社から7年弱ミクシィに居たんですが、その間にミクシィモバイルというガラケーのサイトの開発を経て、ミクシィ内の開発の基盤を整えるグループに所属し、その後にAndroid向けアプリケーションの立ち上げをやりました。

そんな開発現場で経験したいろんな知見から、開発者向けのツールを社内で作るという流れになり、DeployGateをミクシィの社内スタートアップという位置づけでスタートさせました。

DeployGateの立ち上げから2年ちょっと経ったころに、これからミクシィとしてどういった形でDeployGateをやっていくかという議論の中で、ひとつ可能性として出てきたのが、ミクシィとしてではなくて、独立して新しい会社としてDeployGateを続けてやっていくという話が出てきて、結果、去年の2月末にミクシィからDeployGateの譲渡を受けて、独立した会社として株式会社デプロイゲートを、この3人で始め、現在に至ります。
今、法人設立からは1年3ヶ月が経過しました。

3人で会社を立ち上げようと思ったきっかけは?

実は、2012年に新規事業をどんどんやっていこうということでミクシィ内にイノベーションセンターという部署ができたんですが、その流れに乗っかる形で当時、もうひとり共同創業者と共に2人のチームでDeployGateを新規事業の第1号案件として立ち上げたのが始まりです。

そこから2人に出会うわけですね。

では、おふたりのプロフィールを教えてください。安田さんお願いします。

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私はイノベーションセンターという部署の立ち上げ、その後事務局の担当者として仕事をしていました。基本的に彼らが開発をして、サービスを世の中に出していくにあたってのサポートをしていたんですね。
そんな中で、営業同行もするし、マーケティングもする、法務とか財務とか経理とかバックオフィス系の人たちと新規事業開発チームのみんなとのインターフェイスにもなって、もろもろやっていました。

そんなふうに藤崎と仕事をしていく中で、この事業どうしていくのかという話になり、そんな流れから、じゃまあ2人で事業譲渡を受けようということになって、DeployGateを買取して、この事業を一緒に始めたという感じですね。

独立してからも、私自身は引き続きDeployGateの開発には携わっていないんですが、一方でバックオフィス系全般のことや、他社様との業務提携、営業、ユーザーサポート等、開発以外に必要なものはすべて相変わらずやっているような感じですね。とにかくサービス開発を行っているみんなが、働きやすくなることであれば全てやりますというスタンスです。

今は新しいオフィスの準備をしていたりもします。

では、今井さんのプロフィールも教えてください。

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DeployGateが発表された2012年は、僕はまだ学生でした。

元々僕はデベロッパー向けのサービスが好きだったんですね。当時、僕は既存のサービスですとGitHubみたいなものに興味があったんですが、ミクシィからDeployGateが出たことを知って、なんだか気になるなぁと思っていたんです。
で、ちょうどその頃、就活が始まる時期で就職先を探していたので、ちょっとミクシィを受けてみようかなということになって、そこでDeployGateのメンバーに出会って、話を聞いたりをしているうちにインターンのような形でDeployGateに関わらせてもらうようになって、それから新卒としてミクシィに入社して、そのままずーっとDeployGateの開発を続けてきました。

で、去年のDeployGate事業譲渡のタイミングで僕もミクシィを辞めて、DeployGateに一緒に異動し、現在に至ります。

今もDeployGateの開発に関することはすべてやっています。

心折れずにアプリ開発が継続できるツールを提供していきたい

それでは現在のプロダクトを開発するに至った経緯を教えてください。

私自身がミクシィのAndroidアプリの立ち上げをやっていた頃に、プロダクトは作り始めから最後まで一秒も無駄にしたくないという思いで、いい物を作っていきたいと思っていたんですね。

そんな中で、作ったアプリを誰かに見てもらうとか、あるいはこういうモノを作ってみたいと思っているんだけどということを相談するときに、そのコミュニケーションの間で乗り越えなければならない壁がたくさんあったんですね。

たとえばWEBの開発だったら普通にパソコン上で作ったものをサーバーにアップロードしたら、みんなに見てもらえるじゃないですか。

アプリの場合は、「これを作ったよ」っていっても、それをスマホにインストールするために、相手のスマホを借りてUSBケーブルにつないだりとか、開発工程以外の時間のロスがとても多いんです。

仮にそこで不具合が起きたとしても、そのスマホが自分の手元にないので、伝えてもらわないとわからなかったりと、非常に効率が悪いんです。
結局、不具合があってもコミュニケーション不足で、それが伝わらないままリリースされてしまって、あとで「あ、そのバグ、俺見つけてた」みたいことが発覚したりすることが結構あって、そういう部分で開発側としては普段からすごくストレスが貯まるというか、環境的にもっとこうならないかなという部分がわかっているのに、いまだに世界中の開発現場で、そういうことが延々続いているんですね。

それを全部なくすことができれば、世の中にもっといいアプリがどんどん生まれてくると思ったのが、DeployGateを作ろうと思ったきっかけですね。

また現場でもうひとつ残念なのは、さっきいったみたいなクラッシュするアプリが間違って世の中に出てしまうと、App StoreやGoogle Play Storeなどでの評価がすごく荒れるじゃないですか。それって、開発者と使っている人の間のコミュニケーションがうまくいってないだけだとボクらは思っているんですね。

たとえばアプリの評価って、あれ「評価」っていってるんですけど、いっても評価じゃないんですよね。「これのせいで人生が狂った ★1」とか「英語しか出てこない、わからない ★1」とか、そんなレビューを読んでも何の参考にもならないじゃないですか。というか、そういうのばっかり並べられても、開発している側としてはモチベーション下がる一方なんですよね。

本当に開発していると、あれ見たくなくなるんですよ。もうレビュー欄が恐くて見られないんです。それって本当に不幸なことだと思っていて、たとえユーザーから本当に正しい声があがってきたとしても、見たくないって気持ちで、結果見てないってこともあったりするわけじゃないですか。

アプリを開発していると、この部分がよくなるだけでも、もっともっといいアプリが世の中に溢れてくるんじゃないかと思うんですよね~。

もっというと、開発者が新しい技術を学んだり、あるいはノウハウというものを誰かに教わらなくても、DeployGateというサービスを使って、そこに出てくる通りにやっていけば、それらが自然とできるようになったり、また配布したアプリに関してユーザーから有効なフィードバックがたくさん得られ、かつ直したものユーザーさんに再びストレスなく配布してすごく喜んでもらえるというサイクルが回り始めるような部分を、僕らのサービスで提供できればと思っています。

実際のプロダクトは、どんなものなのでしょう?

元々ミクシィにいたときに、アプリを配布、再配布するという部分をまず簡単にすることと、ユーザーにアプリを使用してもらった上でのフィードバックを自由に得られるという部分をツール化するということを僕らはメインでやっていたんですが、それプラス、ツールの導入部分というものをもう少し考える必要があると思ったんですね。

たとえば自動的にアプリのビルドをやってくれるツールは、世の中にはフリーでもたくさんあるんですけど、それを導入すること自体が高度な技術なので、結局開発現場にはそこまで余裕がなくて、その手の便利なツールは今は無理だけど将来は導入したいという気持ちで、そのまま止まってしまっていることが多いんです。それはもしかして調べれば本当は10分でできてしまうことかもしれないけど、試す余裕がないわけですね。

つまり自分たちのツールだけではなく、開発環境の導入部分というものをもう少し考える必要があると思い、その部分の最初の壁というか文化というものも同時に作らないといけないと思って、僕らはDeployGate以外のものも含めた、ひと通りの土台というか開発に必要なものも含めた環境をあたり前のように使えるようなところを提供していきたいというふうに考えるようになりました。

DeployGateを使うことでアプリを開発する敷居が低くなり、より多くの人がアプリを作れるようになって、かつ心折れずに開発を作り続けることができる環境を提供することができれば、よりよいアプリが増えると思うんですよね。

心折れずにアプリ開発ができるというのは具体的にはどんな環境なのでしょう?

結局、作ったものに対して反応があることというのが一番大事なことだと思っていて、開発者が何か大変な修正をしたのに、それに関してユーザーから何の反応も得られない、誰もアクセスしていないという状況になってしまうと、やった意味があったのかなという感じになってしまいますよね。これって実際にもよくあることなんですが、ここでひとりでもいいので、何か反応があるというだけで開発を続けるモチベーションになって、次のステップへとつながると思うので、そういうフィードバックを簡単に得られる仕組みというのをベースにツールも開発しています。

やっぱりフィードバックで「やりがい」なんですよね。フィードバックを得るというとなんだか大変なものに聞こえますけど、それって大げさなシステムを導入したりとか、何かにアクセスして解析しなきゃいけないみたいなことじゃなくて、たとえばアプリを再配信したら、すぐ5秒ぐらいあとに「なんかおかしい」みたいな反応が単純に来るだけでも、「あれ?やばい直さなきゃ」「どうしよう」みたいな感じで、すぐに対応しなきゃという気持ちになりますよね。つまり、そういうものの積み重ねでいいんですよね。これってユーザー側も協力した気持ちになるので、そのやり取りこそがお互いに大事なんですよね。

これが試す側も、返事をする側もリアルタイムでできるのがポイントだと思います。

TECH LAB PAAKはヒントが得られる場でもある

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TECH LAB PAAKに参加するいきさつについて教えてください。

ざっくばらんにお話をすると、安田にミクシィ時代の同期入社の仲のいい奴がいて、彼がリクルートホールディングスに転職しまして、で、僕らちょっと事業譲渡を受けてミクシィの外に出るんだけど、オフィスどうしようかなって思っているんだよねーみたいな話をしているうちに、「あー、実はTECH LAB PAAKっていうのがあってね」というふうに紹介を受けて、じゃーせっかくだからといってお話を聞かせていただのがきっかけですね。

僕らまったくTECH LAB PAAKを知らなかったんですけど、話を聞くと、プロダクトの審査が通れば参加できるというのを知って、独立するにあたって、いいタイミングだったので審査を受けることにしたんですよね。

ちょうどオフィスどうしようかという話をしていた頃で、正直あまりオフィスにお金をかけたくなかったというのがあったんですよね。それが去年の1月ぐらいだったかなー。

そこでTECH LAB PAAKの締切がギリギリ終わるか終わらないかの時期に審査を受けることになったんですが、いざ面接が始まったら自分たちの面接がすごい短かったので、これは落ちたなと思って、オフィスはほかのところを探さないとまずいかなって話してましたね(笑)。

それからTECH LAB PAAKに参加されて1年がたつと思いますが、いかがですか?

DeployGateって開発者向けのサービス、あるいはスタートアップとかそういった方々向けのサービスなんですが、ちょうどTECH LAB PAAKもまさにスタートアップの方々がいっぱいいらっしゃるので、そういったところで「新しいこういうことをやっているんだけど」という相談をしてみたり、逆に「今、困っていることない」とか、自分たちからいったり聞いたりというのもあるし、それをしない場合でもまわりの雰囲気からいろいろなヒントを得ることができるんですね。
これ、僕らがもしオフィスを借りてやっていたとしたら、なかなかできていないことなので、それが日常的にできるのがうれしいですね。まわりにいるほかのサービスとか開発をやっているエンジニアの人たちのナマの声がその場で聞けているというのはいいことですね。

もう1点は、僕らは毎週金曜日に、DeployGate TGIFっていう、簡単にいうと飲み会をやっているんです。しかもここTECH LAB PAAKでやっていて、もう金曜日の夕方6時半ぐらいにちょっとふらふら集まって、コンビニとかで食べ物等を買ってきて、そこらのテーブルに広げて、外部からのお客さんを呼んだりもするし、PAAKの中にいる人とかもまざって、結構、いろいろお話をしながら飲んだりする会を、もう完全に定例でやっているんですね。
そういう機会を設けたりしながら、新しい技術の話だったりとか、まったく僕らの知らなかったところで起きている話を聞いたりとか、そういうコミュニケーションできる場を作るというのは、特にここは渋谷という便利な場所にあるので、そういうことがすごくやりやすくて、逆にいろんな人をつなげることができたりするあたりがすごくよい点だと思いますね。

いつまでも開発者の気持ちを忘れないことが大切

今後は将来的にどんなことをしていきたいですか?

ちょっと直接プロダクト自身の将来的なことではないんですが、僕はデベロッパー向けのサービスが作りたくてこの世界に入ったので開発中のプロダクトや会社の環境も含めて、その面で困ってることはないんですが、現在の仕事は、サーバーサイドの開発がメインなので、だんだんアプリ開発者の気持ちが薄れていくのに困ってるんですよね。

僕自身、元々iOS、Androidのアプリを開発していたので、最初はアプリ開発者の気持ちがわかっていたんですけど、近頃はその気持ちを忘れないようにしないといけないなぁと思っていて、休みの日に個人的にアプリを開発しています(笑)。それと最近は、毎週金曜日はアプリを作る日に設定してもらっていて、会社でもアプリを作ることにしています。そういう取り組みもしていて、常にアプリ開発者の気持ちになって、今後とも活動していけたらいいなぁと思っています。

素敵な会社ですね(笑)。

いわゆる20パーセントルール的な位置づけなんですど、これって実は大事なんですよね。実際に自分たちが開発者で、いろんな課題を持っているからこそ、DeployGateのようなツールの開発に向き合えるというふうに思っていますので、その課題から遠ざからないよう、今後もいろいろと考えていきたいと思っています。

またAndroidやiOSの開発環境自身も時代と共にどんどん状況が変わっていきますから、そのトレンドを知るためにも大事なことですよね。これがわかっていないと、ツールはどんどん古い物になっていってしまいますから、そうなるとサービスとしても時代に取り残されてしまいますので、これはとってもビジネスにとっても大事なことだと思っています。

それでは最後にこのプロダクトに興味を持った方にメッセージをお願いします。

DeployGateは、個人のアプリ開発から、法人のアプリ開発まで、無料のプランから、複数人のチームで作るようなプランまでいろいろと用意していますので、本当に誰でも気軽に使ってみてほしいですね。

もうひとつはちょっと繰り返しのお話になってしまうかもしれませんが、アプリをプロトタイプから、できた瞬間にもう誰かに見せるということをどんどんやって欲しいですね。そういうことができるツールがDeployGateなので、そうやって見せて、フィードバックを得て、そしてさらにアプリを改良していくということ気軽にやっていただきたいですね。

それと最終的にアプリのストアにリリースするつもりがないアプリも、DeployGateでどんどん試してみて欲しいですね。身内でちょっと使うものもDeployGateで共有して使ってみるということにも使っていただけるといいですね。

アプリっていうととにかくストアに公開しなければなにも始まらないというイメージがありますけど、別にそんなこともなく、本当はもっとカジュアルに見せびらかして周りの反応を見れるんです。DeployGateはみなさんにそれを手軽に実践していただける環境なので、これからはぜひそんな使い方もしていただきたいですね。

ありがとうございます。

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