誰もがプログラミングを楽しめるわくわくする世界を作りたい――岩成達哉さんインタビュー

岩成達哉さん
東京大学大学院情報理工学系学科
電子情報学専攻

高校の卒業研究がプロダクトの始まり

岩成さんのプロフィールを教えていただけますか?

元々僕が島根県の松江工業高等専門学校出身で、そのときの卒業研究がプロダクトの始まりです。その卒業研究で、プログラミング教育用のアプリケーションを作りました。翌年から東京に出てきたのですが、それからずっと続けています。

僕らのプロダクトは、アプリケーションでブロックのようなものを並べると、それだけで簡単にロボットが制御できるようになるというものです。遊びながら子供たちにプログラミングを学んでもらうというコンセプトでやっています。卒業研究の時は、レゴ社のマインドストームをコントロールするためのアプリケーションとして開発しました。

東京に出てきて続けているときに、もう少しメンバーが欲しいと思い同級生を誘ったり、大学の友達を誘ったりしながら、少しずつメンバーを増やしていきました。人が増えたことで、出来ることややりたいことがさらに増えてきたというのが現状です。

今は会社として活動されているのですか?

ちょっとややこしいのですが、会社は僕ひとりで「PILE」というチームで活動しています。お客様ができ窓口として必要になったため、2015年6月に会社を設立しています。

今のメンバーはどのように増えてきたのですか?

4年前が始まりで、3年前にひとり増えました。その翌年にふたり増え、去年もかなり増えてという流れで今現在7人になっています。去年はやりたいことが増え、手が足りないということでメンバーを増やしました。

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子供がプログラミングを学習するための3つの問題を解決

現在のプロダクトについて教えてください。

まとめると「Drive」と呼んでいます。「まとめて」というのは、ロボットごとにアプリケーションを作っているためです。例えば、マインドストーム NXT 用のアプリは「NxtDrive」というような形で、一番新しいPILEのロボットに対応したアプリは「PileDrive」と名付けています。

マインドストームとは別のロボットも制御できるということですか?

そうですね。ハードウェアのチームがあって、アプリケーションで動かせるオリジナルのロボットを作っています。そもそもなんでこのプロダクトの始まりは、ロボットをコントロールするアプリケーションを作るという卒業研究でした。それを子供の学習に使えたらいいなと思い、アンケートを取ってみました。すると、3つの問題点があることがわかったんです。

1つ目は文法を覚えるのが難しい。2つ目は、キーボードを打つのが難しい。最後は、画面上で何かが動いていても実用性がよくわからないというところです。その3つを解決する方法として、1つ目の文法に対してはブロックを並べればいい。2つ目のキーボードに対しては、タブレットのタッチタブレットでできるようにする。3つ目の実用性については、ロボットを動かせるようにしました。

これは簡単にいうとフローチャートをビジュアル化したようなものですか?

はい。フローチャートのようなものを作ると、プログラムが組めてロボットが動きます。

プログラムは文法も重要ですが、アルゴリズムを学ぶのが難しいと思います。こちらのアプリケーションには、参考になるサンプルプログラムのようなものも収録されているのですか?

サンプルプログラムも保存できるようになっています。アルゴリズムや考え方という点では、今は、「順次」「繰り返し」「分岐」というプログラムの構成要素ごとに色分けするようにしています。分岐には、ロボットには様々なセンサーが付いているので、これを使います。例えば、光センサーで黒い線から出たか出ないかというので次の命令を分岐させたりと、この3つの構造を使って遊びながらプログラミングを勉強することができます。

プログラミングしたロジックにエラーがある場合はどうしているのですか?

現状では、明示的にはエラーを表示していません。ロボットの動きをみて間違いがわかるようにして、プログラミング自体は結構自由にできるようにしています。もし間違っても実行中に「終了する」というボタンを押すことで止めることもできます。子供が遊べるように、自由度は高めに設定しているといった感じです。画面上で多少位置が左右にずれていても、上から順番に下側へ処理されていきます。

こちらのアプリはもうリリースされていますか?

はい。レゴのマインドストーム用にはGoogle Playで公開していてダウンロードされています。オリジナルのロボット用については販売していないため、公開はしていません。イベントや青山のTEPIA 先端技術館にこれと僕たちのロボットを一緒に使ってもらっています。

オリジナルのロボットはどんなものですか?

今はプロトタイプで、独立に稼働するふたつのタイヤを前に、自由に動くタイヤを後ろに持った3輪の車のようなものです。それにタッチセンサーや光センサー、距離センサーなどが付いています。僕らのプロジェクトとしては、多くの人にプログラミングを体験してもらいたいと思ってやっています。これを販売することよりも、広めることに力を入れてやっていきたいと考えています。

TECH LAB PAAKは環境が良く自由な雰囲気

TECH LAB PAAKについての印象を教えていただけますか?

第一印象では、環境が良く自由な雰囲気だなと思いました。カフェなどで作業することもできるんですが、ここはリラックスして、しかも集中して作業できるというのがとても良いと思っています。それに、新しい人が入ったときなどは、イベントを開催して交流の場を用意してもらえます。そのときに、いろんな人と話しをして「へぇ、そんなことやってるんだ」みたいなことがあり、刺激を受けています。
(下記写真はPAAKで開催した小学生向けプログラミング教室の様子)

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プログラミングを学んで人生のひとつの道具に

これから起こしていきたいイノベーションはございますか?

僕らの活動として、誰もがプログラミングを楽しめる、わくわくする世界にしたいということをやっていこうと思っています。子供が作りたいものができて、わくわくするようなこと・ものを作って欲しいです。
できるだけ多くの人にプログラミングを知って欲しいというのもあります。それは、プログラマーになってほしいということではありません。プログラミングって知っていると意外と役に立つというような、人生のひとつの経験や道具にしてほしいと思っています。

なので、今はお金を取るようなイベントをやりたいというよりも、プログラミングを広めたいという思いが強いです。これとは別に新しいプロダクトを作っているのですが、それをオープンソースにしてできるだけ多くの人が使える教材を提供したいと考えています。

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プログラミングは難しくないので取り組んでみてほしい

このプロダクトに興味を持った方にメッセージをお願いします。

プログラミングを難しいものとは思わず、取り組んでもらいたいなと思います。このプロダクトを見て「プログラミングじゃないでしょ?」という人もいますが、これはちゃんとプログラミングです。こんなふうにプログラミングはできるので、結構簡単なものなんだなと思って欲しいです。みなさんには、このプロダクトに限らずプログラミングは難しくないと思って取り組んでもらえると嬉しいです。

ありがとうございました。

参考に
http://pileproject.com/

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