人の心を動かすことができるようなもの作りをしていきたい――門松信吾さんインタビュー

代表取締役 門松信吾さん
株式会社コトコト

きっかけは本当にお客様の体験になっているもの作りができない

まず門松さんのプロフィールを教えていただけますか?

私は7年間ソフトウェアのエンジニアとしてSIerで働いており、そこで大手のシステムを請け負って開発していました。もの作りが好きだったこともあり、仕事とは別に自分たちでプロダクトも作っていました。それでコンテストに応募して受賞するというようなことを続けてきて、今に至るといった感じです。

会社を設立されたのはいつぐらいですか?

2014年6月なので、もうすぐ2年ですね。大手からの受注でシステムを作っていくなかで、本当にお客様の体験になっているようなもの作りができていないと感じていました。そこで、体験自体を作っていくことに重きを置いて、立ち上げようと思ったのがひとつの理由です。

ものを作るのが得意な集団だったのですが、作れたけれど本当にこのシステムを利用するお客様は幸せになっているのかと考えると、なかなかそう思うことができませんでした。そうした経験をしていく中で、お客様の体験をぐっと変えるもの作りがやりたいという思いが募って、今の会社を興しています。

そうしたこともあり、「心を動かす“コトづくり”」というのを会社のスローガンにしています。コトコトという社名には、もの作りが得意な集団がコト=体験を沢山、コトコトと煮こむようにしっかりと作っていくという思いが込められています。

03

日常のちょっとしたかわいい子供の姿を残していきたい

現在取り組まれているプロダクトについて教えていただけますか?

写真ではなくて、今スマートフォンでお子さんの動画を撮る方がものすごく増えています。その動画を私たちのアプリ「フィルミー(http://www.myfil.me)」を利用してもらうことで、自動で編集してDVDにまですることができるというサービスです。そもそも私の妻が幼稚園の先生をやっていまして、子供たちの日常はドラマチックで、毎日面白いことが起きるという話を聞いていました。そのドラマチックな日常のワンシーンを動画なら、ありのまま残せるなと思ったのがきっかけです。

今ならスマートフォンで、イベントでは無い日常のちょっとしたかわいいシーンを撮ることができます。従来までなら、イベントごとにビデオカメラで撮るといった感じでした。そうして撮りためた運動会などの動画も、本当に活用できているのかというとそうでは無いことがほとんどだと思います。ここにはずっと課題があり、うまく解決したいと考えていました。

撮りためた動画の課題は、「編集」されていないというところです。未編集の動画は見返す機会が少なく、そのままになってしまうことが多いのです。そこで、まず編集の課題をシステムの力でやってしまおうというところからスタートしています。

動画は撮影したものをクラウドにアップロードする形ですか?

そうですね。私たちのアプリで撮ってもいいですし、スマートフォンで撮った既存の動画をアプリの方に取り込んでも大丈夫です。ただ、私たちのアプリで撮っていただけるとスマートフォンの容量も使わず、動画が撮り放題なのでオススメです。あとは取り込んだ20~30本の動画を自動で解析して、もっともいいシーンだけを抽出し編集するようにしています。だいたい1カ月分ぐらいの動画が、3~5分ほどの映像に凝縮されます。その1本1本の動画の中から一番いいシーンだけを抜き出して、エフェクトや音楽を一緒に付けるようにしています。ただ動画を選ぶだけで、アプリが全部自動でやってくれるというのが私たちのサービスの特徴です。

当初は、自動で編集してくれるというのが、「フィルミー」のウリでした。しかしサービスを提供してみると、DVDとして残したいという方が非常に多いことがわかりました。それで、そちらにも対応するようにしました。

DVD化する機能は後から付けたものですか?

オプション的に付けていました。思ってた以上に、アプリを利用した方の約半分がDVDにしてくださったんです。DVD自体は、保管という問題を解決するものとは考えていません。あくまでもメディアは、“コミュニケーション”の媒体だったり手元にある“安心感”の2軸だと思っています。そのため、データの保管はしっかりとクラウドでやっています。

手元にある安心感は人間の本能的なものですし、みんなと一緒に自宅のテレビで見ようというコミュニケーションも生まれます。ものを通して体験を作っていくというところが、私たちのDVDの目的です。ちなみに、DVDを購入していただくとシリアルコードが同梱されており、それをパソコンで入力することでいつでもクラウドから動画のデータをダウンロードできるようになっています。

「フィルミー」をリリースされたのはいつですか?

今のアプリになってリリースしたのは2015年10月です。それまでの1年間ぐらいは、前のバージョンで自動編集の検証を行っていました。本当に自動編集した映像で、お客様の心に刺さって満足してもらえるのかというのをやっていました。検証期間中にお客様に編集した映像を見ていただいて、5段階評価で平均的に4ぐらい出すことができました。それぐらいの精度の自動編集なら十分に喜んでもらえるということで、今のバージョンにリニューアルしてサービスを展開しています。

オープンでテクノロジーを持つ人たちが集う場所

TECH LAB PAAKの印象はどんな感じですか?

オープンで、イノベーションを起こすようなテクノロジーを持っている人たちが集まっている場所だと思っています。ほかのベンチャープログラムよりも、よりエンジニアやクリエイターなどものを作るのが好きな人たちが集まっているなというイメージです。ビジネスの前に、面白いと思うことを追求している人たちがすごく多いと思います。

02

人や家族のことを思う時間自体を増やしていきたい

これから起こしていきたいイノベーションがございましたら教えてください。

動画は表現力が最上級に豊かで、お客様の生活を変えるようなところに結びつけていきたいです。それを僕らは、テクノロジーの力で繋げていきたいと思っています。
「フィルミー」事業としては、まるでタイムスリップしたかのようにそのときの感情が蘇るような感覚が体験できる機会をたくさん作っていきたいです。それにより、人や家族のことを思う時間を増やしていきたいと考えています。

「フィルミー」事業自体のこの先の展望はございますか?

今膨大に眠っているのは、スマートフォンの動画だけではなくてハンディカメラなどで撮った動画です。そういうものを含めて、すべての動画の思い出が保存されている。それをいつでも振り返って見ることができる、という状況を作っていくのが使命だと思っています。

サービスが年数を重ねていくと、タイムカプセル的なものになりそうですね。

動画だと、そのときの空気感までも伝わるので、そこは本当に当時に戻れるという感覚だと思います。今私たちのアプリを使っているユーザーのお子さんは、0歳が多いんです。その大切なお子さんの動画をお預かりしたからには、少なくとも30年はサービスを続けないといけないと思っています。そのお子さんたちが二十歳を迎えて成人式や結婚式を行うときに、サプライズでそのときの映像を送ってあげるのが私たちの夢です。

お子さんをお持ちの方全員に使って欲しい

このプロダクトに興味を持った方にメッセージをお願いします。

お子さんをお持ちの方全員に使って欲しいですし、写真以上に、当時の非常にかわいいお子さんの姿を丸ごと残せる手段だと思っています。それらをたくさん残して行きつつ、それを見返して欲しいです。ママたちが子育てして行くなかで、お子さんのことを叱りすぎてしまったり、辛いときがあるのも事実だと思います。でも、そんなときにお子さんの動画を見てみてください。そうすると、やっぱり愛おしいという感情がわいてきて、明日はやさしくいられるというママの声もいただいてます。そういう、家族のことを想う時間がある生活は、本当に心豊かな幸せなものだと思っています。そういう体験を、私たちのアプリを通して増やしていけると嬉しいです。

ありがとうございます。

他の記事も読む