世界中の人の“生き様を作る”というビジョンを胸に。

——藪さんのこれまでの経歴を教えてください。

僕は福井県で生まれて、高校生まで地元で育ちました。中学生の時にアメリカでブレイクダンスを見て感激し、高校生の頃からは自分でもブレイクダンスを始めました。大学もブレイクダンスの強豪校へ行こうと思い、京都の同志社大学へ入学しました。それからはブレイクダンスのいろいろな大会に出場して、学生日本一になったこともあります。経済学部だったのですが、あまり勉強をしていなくて、在学中にはグラフィックデザインなどを学びにアメリカへの留学も経験しました。また、それ以外には英語の家庭教師と生徒をマッチングするCtoCサービスを2年生の時に始めました。その後、大学を卒業した4年前に東京へやってきて、グルメ系サービスを運営するRettyに社員8人目くらいのタイミングで入社します。ここでは、プロジェクトマネージャーという立場でアプリや採用など、いろいろと担当していました。それが、MOSHを立ち上げるまでの直近の経歴です。

 

——ちなみに、大学在学中に立ち上げたCtoCサービスとはどのようなものだったのでしょうか?

これは、僕が以前家庭教師のアルバイトをやっていた頃の経験をもとに立ち上げたマッチングサービスです。家庭教師のサービスは、生徒から問い合わせが来たら、持っているネットワークに一斉に案件を投げて、マッチングした家庭教師を生徒のもとへ送るという仕組みになっています。僕がアルバイトをしていた当時、実際に担当した生徒はけっこうヤンキーっぽい子で、きっと僕がダンスをやっていたから何かしら通じるところがあると思った上でのマッチングだったのではないかと(笑)。でも、本当にその通りだなと思ったので、きちんと一人ひとりの先生の趣味や得意なこと、バックグラウンドを表記して親御さんが先生を選びやすいようにするというサービスをウェブ上で運営していました。

 

——その後、現在の会社を立ち上げたのはなぜですか?

事業を始める前に、実は世界中を旅しました。いろいろな国を巡っている中で、アフリカのマサイ族の村にも行って。その村では、15歳になるとライオンを狩るという通過儀礼のような儀式が行われていました。僕はそこで、15歳の時にライオンを狩って村の重要な役を任されるようになった男の子と友だちになったのですが、彼が言うには村民はライオンを狩った後、家を一軒建てたり村長になったりという、マサイ族の村なりの昔からのステップアップの方法があると。それに則って表向きでは伝統に則って、観光客が来れば高くジャンプをしたり、原始的な方法で火を起こし始めたり、いわゆる世の中の人がイメージするマサイ族というものを演じる。でも、実際は村中の人たちがスマホを使って外の情報を得る生活が普通になってきています。そうなると、もちろんマサイ族以外のアフリカ中の情報も入ってくるし、SNSを通じて世界各国の情報が入ってくるようになります。そんな環境に置かれた彼は、「自分の本当にやりたいことは何なんだろう」と言っていましたね。それは、マサイ族の彼だけではなくて、僕が世界中で見てきたミレニアル世代の若者たちの共通の悩みだったように思います。だからこそ、何かに夢中になれるものを生み出すMOSHという会社を立ち上げました。

 

——薮さんが運営する『MOSH』とは、どのようなサービスなのでしょうか?

僕らがやっているのは、“個性ある人たちをインターネットを活用してきちんとプロデュースしていきましょう”という事業です。その第一弾としてリリースしたのが、個性を売れるサイト作成サービス『MOSH』。ユーザーの中に、ヨガインストラクターのRyuziさんという方がいます。彼はサッカーでブラジルに留学していたり、水泳のジュニアオリンピックに出ていたり、劇団四季で『ライオンキング』に出演していたりと、けっこうユニークなバックグラウンドを持っていたのですね。でも、一まとめにヨガインストラクターとしてしまうと、彼の持つさまざまな個性が消えてしまう。『MOSH』は、そんな彼のような方のさまざまなバックグラウンドをデータとして可視化してあげることで、個性を世の中に売っていくことができるサービスになっています。また、『MOSH』で作成したページをSNSでシェアしやすいかたちにしたことで、これまでRyuziさんに少し興味があるくらいだった人が改めてページを見て彼のバックグラウンドを知り、レッスンに参加してくれる。そういったかたちで今、徐々に効果が出てきています。今後は、産後ヨガレッスンやママ向けのヨガレッスン、ボディラインを綺麗にするためのヨガレッスンなどカテゴリーを分けていって、ユーザーの方がより集客しやすい状態に変えていこうと思っています。

 

——『MOSH』は、ヨガインストラクター向けのサービスなのでしょうか?

ユーザーの7、8割はヨガインストラクターですが、決してヨガインストラクター専用のサービスというわけではありません。これまでにも、パーソナルトレーナーや英語の先生、料理教室の先生やお茶の体験教室の先生など、いろいろなジャンルの方が登録してくれました。そんな中でPAAKに在籍している半年間の間はまず、一つのジャンルに絞ろうと決めたのです。そこで、Instagramなどを通じて情報発信に力を入れている方が多いジャンルからやっていこうと思い、意図的にヨガインストラクターの方たちの登録数を増やしてきました。

 

——そもそも『MOSH』を開発するきっかけは、何だったのでしょうか?

海外をいろいろと巡ってたくさんの国を見ていく中で、UberやAirbnbのようなサービスの流れが世界中に来ているということを感じました。そんな中、アフリカにいたAirbnbで部屋貸しをしているおじさんが印象的で。彼はAibnbのページから引っ張ってきた口コミを自分で作ったウェブサイトやFacebookに掲載したりしていたのです。なぜそんなことをしているのかというと、彼は自分のプラットフォームを持ちたかったからです。このような考えを持つ人は他の国にもいて、人間は誰でもプラットフォームを持ちたいという欲求を持っていて、それはウェブサイト上であっても同じことが言えるのでないかと改めて思うようになったのです。それが、『MOSH』を発案するきっかけの一つでした。

 

——『MOSH』の強みや特徴は、どんなところにあるとお考えですか?

フリーランスで仕事をされている方はみなさん、ウェブサイトを作ろうとは考えるのですが、結局作っていなかったり、作ってもそのまま放置していたりという方が多いのが現状です。そんな方のために、スマホでおしゃれなUIのサイトが簡単に作れることが特徴の一つです。それから、個人の個性的なデータがあることも特徴の一つですね。これが、『MOSH』の一番の特徴なのではないかと思っています。例えば先ほどのRyuziさんの場合、『MOSH』に登録する前のウェブサイトには“9時からレッスンをやっています”というような漠然とした情報しか載っていなかった。そこで、僕たちは『MOSH』を通じて彼のさまざまなバックグラウンドや個性を世の中に発信しました。お客さんは誰でも、インストラクターの合う、合わないであったり、受けたいレッスンの内容だったりが違います。『MOSH』を見ればRyuziさんがどんな人なのか、どんなレッスンを行っているのかがすぐにわかるので、従来に比べてよりコンバージョンを増やしていくことができるようになったと思っています。

 

——薮さんの今後の展望を教えてください。

ヨガインストラクターと一括りでいっても、さまざまな人がいます。でも、ヨガインストラクターという肩書きにまとめられると、みんな横並びになってしまう。その中で、どうやって個性を出していこうかと悩んでいる人は多いと思います。それはヨガインストラクターに限らず、いろいろなジャンルの人が当てはまるはず。なので、僕たちは“生き様を作る”というビジョンを掲げて、誰もが持っている個性をインターネットを通じてプロデュースしていきたいと思っています。そのための第一段階が、『MOSH』です。今後は、この『MOSH』に集まってきつつあるユーザーの個性をどのように活かしていくのかに注力しようと考えていて、まずはフィットネス系のマッチングサイトやコマースというかたちで用意していきたいと考えています。その後に、同じような課題を抱えているジャンルに展開できたらと思っています。

 

——PAAKについてお聞きします。応募したきっかけを教えてください。

PAAKがオープンする時、プレオープンのイベントで来たので実は、前から存在は知っていました。それで、いつか自分が起業する時にはお世話になろうと思っていて、起業をするタイミングで知り合いだった会員の方に紹介してもらい、応募しました。

 

——実際に会員になってみて、いかがでしたか?

本当に、ただただ感謝です。基本的な設備はもちろん良いし、僕が期待していなかったところでよかったのは、ずっとつながっていたいと思えるような人との出会いがあったこと。そう言った同じ期の会員さんとよくPAAKで話したり、お茶しに行ったりしていました。あとは、苦手だったコーヒーが飲めるようになって、コーヒーの淹れ方も上手くなったこととか…(笑)。最後のOPEN PAAK DAYでオーディエンス賞を獲ることは最初に決めていたので、それが最後に叶って嬉しかったです。

 

——最後に、PAAKに応募しようと考えている方やスタートアップの方に向けてメッセージをどうぞ。

とにかく、6か月間という時間はあっという間でした。なので、どうやってこの半年間という限られた時間の中で、自分たちのやりたいことを検証したり実現したり、何をいつまでにするのかということをしっかり考えることが大事だと思っています。会員さんは優秀な人が多いので、ぜひ会員期間中にそういった人たちと交流して人脈を作って、情報交換をしながら切磋琢磨していってほしいですね。

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