様々なオープンデータを活用して地域の情報をリアルにシミュレーションしていく――株式会社マイクロベースインタビュー

代表取締役CEO仙石裕明さん
取締役COO富川蓉子さん
取締役CTO川崎康弘さん
株式会社マイクロベース

『シムシティ』にインスパイアされてリアルなデータでシミュレーション

まずご経歴を教えていただけますか?

2年前になるのですが、博士課程の学生のときに研究内容で事業化したのがこの会社になっています。今は3人で会社をやっています。どんなことをやっているかと申しますと、位置情報のデータを解析して、そこからシミュレーションツールを作ろうということを考えて始めました。

インスパイアを受けたのは、ゲームの『シムシティ』です。ビッグデータやオープンデータなどリアルなデータを使って、リアルなシミュレーションを簡単に行うことができるようなプラットフォームを作ろうと思いました。最初は研究ベースで始めていて、将来の人口推計データというのを作りました。細かいデータを作ったところ、いくつかの会社から購入のお話がありまして。それがきっかけで会社化しました。

会社を設立されたのはいつですか?

2013年3月です。博士課程を卒業する2014年までは、学業をやりながらという形で進めていました。卒業してから事業として本格的に打ち込んでいこうと考えました。

データといった観点から地域を見ていくのがコンセプト

このプロダクトが始まったのはいつぐらいの時期ですか?

研究の始まりは、2012年の頭ぐらいです。今の形に近くなったのが、2015年の2月か3月頃です。始めに研究ベースでプロダクトを作っていきました。サービスの「Spaada」名称はイタリア語の剣という意味で、「地域を切る」というのをイメージできるように付けています。

地域がどうなっているのかというのは、なかなかわからないことが多いです。こうした位置情報のデータを使うと、実は高齢者が多い割に施設が足りないというような需要と供給の例がよく見えてきます。データを切り口にして地域を見ていこうというのがコンセプトです。

データはどのように集めているのですか?

ほとんどは、国勢調査などのオープンデータと言われているものです。これらのデータは、日本全国網羅的に出ています。国勢調査の人口データや、国土地理院の航空写真など様々な種類のデータが国から出ていて、それらを集約した後に、弊社ではダウンスケーリングと呼んでいる、データを細かく再集計する技術を用いて独自に解析しています。建物の大きさなどから、この地域はたくさん人が住んでいるといった関係性をモデル化しています。

今まではデータを作るということに特化してきましたが、そうしたデータを外に出していくためにASPという形で作ったのが「Spaada」です。国も同様のデータは出していますが、プライバシーの問題などもあり、マクロな形でしか出さざるを得ません。津波や地震などがあたっときに、どれぐらい被害人数が出るかといった予測も荒くなってしまいます。より細かいデータがあることによって、震災時にこういう施設がこれぐらいないといけないですといった具体的なことが言えるようになるのです。

たとえば、NTTドコモ社が、モバイル空間統計という製品を提供されております。これは、携帯の基地局のデータから、今その場所に何人いるかといったものを時間帯別に統計して販売しているものです。それを利用すると、今どこに人が移動しているかといったことがわかるようになるのですが、これもプライバシーの関係で集約されて大きな単位でしかわかりません。弊社のダウンスケーリング等の技術を用いて”推計”ベースでより細かい単位で人の分布を推計することが可能になります。

『シムシティ』的な要素はございますか?

ある場所に何人女性が住んでいて、そのうち何割が子供でみたいな情報が国勢調査のデータ上にあります。「Spaada」において位置と半径を指定すると、その領域内の人口ピラミッドが表示され、男女別の年齢構成を確認することができます。同時に利用交通手段や世帯構成などを表示することもできます。そのデータを元に、『シムシティ』的に女性が多いから雑貨店を作った場合どうだろうとか、道を変更した場合利用交通手段に車が多いからどういう経路になるんだろうみたいなことをシミュレーションしていきたいと考えています。

「Spaada」の中に、将来人口のデータが入ってます。今2016年ですけど、東京オリンピックが終わった後にどうなっていくかということも見ることができます。駆け込み需要でマンションが作られていますが、本当にその地域がどうなっていくのかというのが、何度かクリックするだけで簡単に見ることができます。

PAAKは人を繋いでもらいやすい環境

TECH LAB PAAKの印象をお聞かせください。

人を繋いでもらいやすい環境で、弊社は位置に紐付いた統計情報を扱っているので不動産業界など土地を扱う業界と親和性が高いんです。でも、その接点をなかなか得られずにいました。それを運営の人が繋げてくれて、お客様候補ができたり膝を詰めてヒアリングできるようになったので、ありがたいと思っています。

一番の恩恵は、他チームから情報をいただけるところです。ちょっとジュース飲みに来たときに、冷蔵庫向かいのテーブルでの議論が耳に入り、自分たちと関連がある話題が聞こえてくることがあります。
それで、すぐ紹介してくださいと(笑)。

企業が持つクローズドなデータを繋ぐ架け橋になりたい

今後起こしていきたいイノベーションはありますか?

今オープンデータを使っているのですが、それを土台にしていろんな企業がクローズドにして外に出せないデータを巻き込んでいきたいと思っています。企業の持つデータをつなぎ合わせる架け橋みたいなプラットフォームにしていきたいです。僕らがやっている位置情報は、住所がとても大事です。住所を元に、いろんなデータを結合することができます。通常はプライバシーなどが関わるデータでも、「Spaada」を通して外に出せる情報としてサービス化できるようにしていきたいなと考えています。その延長上に、『シムシティ』があるんじゃないかと思っています。

プロダクトに興味を持っているエンドユーザーにメッセージをお願いします。

自分の好きな場所など、見たいものを見て欲しいです。虫の目は既に持っているけど鳥の目で地域を見てみたいなぁ、という方には特に価値を感じていただけるのかなと思います。地域の情報を見てみたいけどデータを扱う時間が無かったりやり方がわからないという人にこそ、「Spaada」を使えば簡単に調べることができるので地域を見てほしいですね。

ありがとうございました。

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