1着1秒、いつでもどこでも服を選べる、仮想試着SNSサービス。

『Kimakuri』中里 裕史さん(株式会社BloomScheme)

——中里さんのこれまでの経歴を教えてください。

子どもの頃にまで話を遡ると、もともとはフランス語での教育を行うインターナショナルスクールに通っていました。大学は慶応大学へ入学し、卒業後はIBMのコンサルティング部門であるIBCSへ。ITコンサルティング、戦略コンサルティングの双方を経験しました。その後IBCSを退職し、一橋大学大学院でMBAを取得。在学中に大学時代の友人から誘いを受けたことがきっかけで、microbaseという会社でCOOとして在籍したこともありました。実はこの会社は、後にPAAKの4期生として採択されたスタートアップでもあります。microbaseを退職したのは、2015年のこと。この時の経験を経て、僕自身もいつかは起業をしたいと思うようになり、フリーランスとして独立しました。そうして、コンサルティングの仕事をしつつ事業の構想を練り、『Kimakuri』の事業アイデアを思いついたところで株式会社BloomSchemeを立ち上げました。

 

 

——『Kimakuri』の事業アイデアを思いつくまでの経緯を教えてください。

以前からこんなサービスがあったらいいのにという思いが、僕の中にはなんとなくありました。特にフリーのコンサルタントとして働いていると毎日忙しく、なかなか服を買いに行くことができなかったんです。そのうちに結婚をして妻が妊娠しましたが、妊娠するとなかなかショップに行って服を選ぶということが難しくなります。そんな彼女の状況も間近で見ていて、これらの問題をどうにか解決できないだろうかと考えるようになったのが、最初のきっかけですね。

最初に考えたサービス内容は、カフェのようなおしゃれで広い個室を作り、そこにブランド問わずネットで事前に選んだ服が届けられ、試着できるというものです。しかし、これだけではビジネスとして競争優位性を得ることは難しそうだと感じました。そこで思いついたのが、実際に自分が試着をするのではなく、3Dスキャンした服のデータを活用してWEB上で自分のアバターが試着する『Kimakuri』でした。

 

 

——改めて『Kimakuri』とは、どんなサービスなのかを教えてください。

『Kimakuri』は、スマホさえあれば1着1秒でいつでもどこでも服を選ぶことができる、仮想試着SNSサービスです。もう少し想像しやすいようにお話しするとすれば、ファッション雑誌に試着ボタンが付いたものと考えていただければと思います。ファッション雑誌にはさまざまコーディネートが載っていますが、モデルさんが服を着ている写真を見ても自分とは顔も体型も違うので、その服が自分に似合うかどうかがわからないという不満を持った経験は、誰にでもあると思います。また、実際にショップに行って試着するのには時間も手間もかかります。オンラインショップで届いた服を試着して返品するにしても、届くまでに時間がかかりますし、場合によっては返品の手数料がかかることもあります。そのような不満を解決するためのサービスが、『Kimakuri』です。

『Kimakuri』にはFacebookのようなタイムラインがあり、そこに3Dスキャンした服を着た3Dアバターの画像が次々に流れてくる仕組みになっています。ユーザーは試したい服やコーディネートを見つけたら試着ボタンをクリックし、その服を自分の3Dアバターが着ることで仮想的に試着できるというものになっています。今後の予定としては、9月末までにこれらの機能を全て実装し、年内に本リリースを目指したいと考えています。

 

 

——実際にユーザーが『Kimakuri』を利用する場合には、どのような操作を行うのでしょうか?

最初に、自分の顔写真をアップロードしてもらうことから始まります。すると、自動的にユーザーの顔の3Dモデルが作成されます。次に、自分の体型を記録してもらいます。バストやヒップ、ウエストなど全部で10ほどに分かれていて、実寸に近ければ近いほど自分の体型に似たアバターを作成することができます。とはいえ、一つ一つサイズを記録するのは面倒という方も多いとは思うので、以前購入した服のサイズなどを記入することで簡易的なアバターを作ることも可能です。ここまでの操作を行うと、タイムライン上に流れてくる服やコーディネートを自分のアバターに自由自在に着せ替えることができるようになります。その服が気に入ったら購入ボタンをクリックして、直接ECサイトで購入することもできます。また、本サービスはSNSになっているので、自分のアバターが服を着た画像を投稿することが可能です。友だちと投稿内容を共有したり、いいねやコメントをつけ合ったりすることもできますし、試着数がタイムライン上に表示されるので、人気のあるものを優先的に試したり、友だちの試着した同じコーディネートを試着することもできます。

 

 

——『Kimakuri』は、どのような目的やシーンで利用してもらうことを想定されたサービスなのでしょうか?

『Kimakuri』の使い方は、大きく分けて二つあります。一つは、自分に似合う服を探すという使い方です。自分が友だちにコーディネートを提案したり、逆に友だちからコーディネートを提案してもらったり、あるいはスタイリストやアパレルブランドから自分に似合うコーディネートを提案してもらったり。そうして、仕事や家事で忙しいという人に、純粋に新しい服やコーディネートとの出会いを楽しんでもらえたらと思っています。

もう一つは、普段なかなか手を出せない服やコーディネートに挑戦して、非日常感を楽しんでもらうという使い方です。例えば、これまで手を出せなかった高級ブランドの服や奇抜な服を自分のアバターに着せてみたり、あるいはコスプレをさせてみたり、ウェディングドレスを着せたり。『Kimakuri』は、背景を自分の好きな風景や場所に変えることもできますし、アバターを自分の理想の体型に変えることもできます。そして、将来的にはアバターが自由にポーズをとれるようにしたり、アニメーションにしたりと考えているので、例えば自分だけのファッションショーを作って、モデルさんに混じって自分のアバターがランウェイを歩くのを見て楽しむ。そんな、さまざまな楽しみが広がっていくサービスにしたいと思っています。

 

 

——『Kimakuri』の一番の特徴や他社との差別化を図るポイントは、どんなところにあるとお考えですか?

『Kimakuri』の一番の特徴は、アバターの圧倒的なクオリティーの高さにあると考えています。3Dアバターを作成する既存のサービスはありますが、3Dアバターを使った試着サービスがこれまでなかったのには、技術的な問題と金銭的な問題でクオリティーの高いアバターを作ることが難しかったからや、ユーザーが試着したいと思える膨大な量の服を3Dスキャンしなければならないから、というような理由が大きく占めているのではと思っています。

そこで当社では、独自開発した3Dスキャンシステムを活用することで、これまでになかった高品質な3Dアバター作成をスピーディーに、かつ低コストで行うことを可能にしました。現在、この技術で特許を申請しているところです。

 

 

——『KImakuri』の提供を通して、BloomSchemeが目指す世界観を教えてください。

僕たちは“世界を美しいもので埋め尽くす”というミッションを掲げて、『Kimakuri』の研究・開発を行っています。このお話をすると多くの方は、「美しいものは人によって定義が違うよね」とおっしゃいます。もちろん、人によって美しいと思うものは異なるのは当然です。ですが、美しいもののために費やした労力や時間は、客観的に測定できると思っています。例えば、自分が着ている服が2着から選んだものなのか、もしくは10着から選んだものなのか、はたまた10,000着から選んだものなのかと考えた時、可能であるかどうかは別にして10,000着から選んだ服は、2着や10着から選んだ服よりも、自分にとっては美しいものであるはずです。『Kimakuri』があれば、そのように10,000着を試着することも不可能ではありません。そうして、その人にとって美しいものを効率的に選ぶことができる世界、その人にとって美しいと思えるもので埋め尽くされた世界、そんな世界を作っていけたらいいですね。『Kimakuri』は、そのための第一歩となるサービスです。将来的にはインテリアやヘアスタイルなど、さまざまな分野や領域にも広げていき、世界を美しいもので埋め尽くしていきたいと思っています。

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