複数サイトを横断できる、世界初AR・VR向け3Dモデル検索サービス

『heymesh』梶谷健人さん(右)、小林佑樹さん(左)(株式会社MESON)

——お二人のこれまでの経歴について教えてください。

小林さん:大学ではネットワークの研究をしていて、大学院ではプログラム言語を作ったり拡張したりということをする研究室に所属していました。その研究室では機械学習を使って、例えば新人のエンジニアが書いたコードの良くないところを指摘してあげるなど、コードのきれいさを測定するというツールを開発しました。基本的には仕事でもプライベートでも、WEBアプリなどを開発するソフトウェアエンジニアとして生きてきました。院生の時には一度休学をして、リクルートさんにインターン生として在籍。新規事業制度のNew RINGに応募させてもらい、入賞したので予算をつけてもらって、ファッション系の事業を立ち上げるという経験もしました。そんな経験をした後にまた大学院に復学し、去年の9月に梶谷と会社を立ち上げました。

 

梶谷さん:僕は大学生の頃からIT系に興味があって、いろいろな企業のインターンに参加していました。2年生の頃にはファッションアプリ『IQON』を運営するVASILYという会社で、日本では初期の頃からグロースハックと言われることをやり始め、インターン生ではあるもののほぼ社員のような待遇で3年間ほど在籍していました。当時、グロースハックに関する本も出版しました。もともと起業に興味があったので、大学を卒業する時には日本で起業するか、アメリカで起業するか、インドで起業するかを悩みました。それで、まずは現地で働いてみようと思い、インドに半年間滞在して、フリーランスでグロースハックのコンサルティングをしていました。その後に行ったアメリカでは、最初の3ヶ月間はデザインのスクールに通って、スクールに通いながらサンフランシスコのスタートアップのデザインの手伝いをして、擬似的に現地で働くということを経験しました。でも、アメリカもインドもやっぱり自分には違うのかもしれないなと思い、半年間をかけて世界1周をして、日本に戻って半年間フリーランスとして働いた後に、株式会社MESONを立ち上げました。

 

——お二人が出会った頃のお話や、会社を立ち上げたきっかけについて教えてください。

小林さん:彼と出会ったのは3、4年前のことです。リクルートが当時開催していたアメリカ横断インターンシップという、現地のスタートアップから事業の作り方やリーンスタートアップについて学ぶというようなインターンで、お互いに参加者として参加したことで出会いました。その後もプライベートで交流は続いていて、僕が大学院を卒業する時に、彼から「一緒にARの事業をやろう」と誘われたんです。当時、僕はリクルートから内定をもらっていたのでどうしようかなと迷ったんですが、その頃リリースされたAppleのARkitのデモを見て、やっぱりやりたいなと思うようになり、二人で株式会社MESONを立ち上げることになりました。

 

——『heymesh』の開発を始めるまでの経緯を教えてください。

梶谷さん:ARを使って何か事業をやろうという想いで昨年の9月に会社を立ち上げたものの、最初はどんなものを作りたいのか定まらず、半年間くらいは二人でさまざまなアプリケーションを作りました。ボツ案を含めると、全部で10以上作ったかと思います。具体的にはARの技術を使って、空間に出現した目覚まし時計を4つ壊さないと音が止まらないという朝起きるためのAR目覚ましアプリだったり、CDのジャケッから立体的に音楽を楽しめるアプリケーションだったり。

そんな中で、自分たちのイメージに合うもので、なおかつクオリティーの高い3Dモデルを探すことに毎回苦労していました。時間をかけて探しても、なかなか良いものが見つからないことが多かったんです。よくよく聞いてみると、ARやVRのサービスを手がけるクリエイターはみんな同じ問題を抱えていました。ARやVR、ゲームを作る上で何よりも重要な3Dモデルを検索することに、困っている人が大勢いる。それなら、この問題を新たなソリューションで解決しようと思うようになり、『heymesh』の開発を始めました。

 

——実際に、3Dモデルを検索する上で多くのクリエイターが抱えている課題は何なのでしょうか?

梶谷さん:課題は大きくわけて、三つあります。一つ目は、データが分散してしまっていること。現状では総合的なサイトがないために、一つ一つ小さなサイトを見てイメージに合ったものを時間と手間をかけて探すことでしか、良い3Dモデルを手に入れる手段がありません。二つ目は、詳細なスペック軸で探す方法がないこと。アニメーションが付いているのかなど、クリエイターはさまざまな条件で3Dモデルを探しますが、現状では3Dモデルが整理されずに並んでしまっているため、探しにくいことも課題になっていました。そして3つ目の課題は、ライセンスチェックに手間がかかること。せっかく一つ目、二つ目の課題を突破して良いモデルを探し出すことができても、ビジネスには使えなかったり、編集をできない制約がかかっていたりすることがあり、クリエイターは日々頭を悩ませているという現状があります。

 

——改めて、『heymesh』がどのようなサービスなのかを教えてください。

梶谷さん:『heymesh』は、ARやVR、ゲームクリエイター向けの3Dモデル検索エンジンサービスです。具体的には、3Dモデルを提供している世界中の15の大きなサイトを横断して検索できるというサイトになっていて、商品数は全部で約150万点。今現在、3Dモデルを提供する一番人気のサイトであるUnity Asset Storeの商品数が3万点ほどなので、50倍の量の商品数を扱っています。もちろん特徴的なのは、数だけではありません。クリエイターが望む条件などを細かく設定して一括で検索することができ、ビジネスで使えるのか、クレジット表記しなくても使えるのかというような、細かなライセンスのチェックも同時に行うことができるようになっています。また、レビューがある商品に関してはレビューも掲載していて、クリエイターが時間と手間をかけずに、自分のイメージに合った良い3Dモデルを検索することができるサービスを開発しました。

 

——今後、3Dモデルを制作する側の課題やニーズにも迫っていく予定はあるのでしょうか?

梶谷さん:『heymesh』は、3Dモデルを検索するクリエイターの課題を解決するサービスとして提供していますが、3Dモデルを作る側にも課題はあります。独自のモデルを作ろうと思って3Dモデラーと呼ばれるデザイナーに発注をすると、現状では1体300万といった金額がかかってしまうんです。なぜここまでかかるのかというと、単純に3Dモデラーの数が少ないからと、制作にかなりの労力を必要とするからです。一部のスタートアップは自分たちでその莫大なお金を支払い、独自の3Dモデルを作っているんですが、そんな莫大な費用をかけるのは大変なことですよね。なので、イメージとしては10分の1くらい、1体の3Dモデルに対して30万円くらいで制作できるようなソリューションを見つけていきたいとも考えています。

 

小林さん:そのための具体的な案としては、世界で埋もれてしまっている3Dモデラーと企業をうまくマッチングして、なおかつ、そこの間のコミュニケーションコストがほとんどかからない仕組みにしていけるサービスを開発していきたいと思っています。世界中の3Dモデラーや企業がコミュニケーションをとる時に、言葉だけだと壁があり、うまく作りたい3Dモデルのイメージが伝わらないということが起こってしまうと思うんです。せっかく僕たちは『heymesh』という膨大な量の3Dモデルが集まるサービスを運営しているので、例えばサイトからイメージに近い3Dモデルを10個選んで、簡単な説明を添えて発注をするというようなフローにできたらなと。こちらのサービスは、年内までにはリリースしたいですね。

 

——『heymesh』を、どんなサービスに成長させていきたいとお考えですか?

梶谷さん:今、何となく考えているのは、3Dモデルの分野のAmazonを作りたいなということです。今後、ARやVRが本格的に定着してくると、誰もが3Dモデルを購入するという時代が必ずやってきます。今現在、ソーシャルVRと言われる『VRChat』というサービスが一部で流行っていますが、将来的には今はまだVRを体験したこともないような人が、自分の部屋をVR空間上に作ったり、自分の3Dモデルを作ったりというようなことが、普通に行われる時代が来ると思うんです。その時に、Amazonのような総合的なECサイトがあったらとても便利ですよね。そんなAR、VR界のAmazonのようなサービスに成長させていけたらと思っています。

——『heymesh』の今後のビジョンを教えてください。

梶谷さん:僕たちには、世界中の人に使われるようなサービスを作りたいという思いが根底にあります。実は会社名のMESONにも、その思いを込めています。MESONとは日本人で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹さんの、中間子理論の中間子のこと。なぜかというと、僕は一度高校生の時にアメリカへ留学をしたんですね。当時、日本のガラケーは世界でトップを走っていて、日本のガラケーを持っていると「日本のテクノロジーはすごい」と言われたし、それだけでちやほやされたんです。でも、大学を卒業してインドとアメリカに行った時、状況は一変していました。日本人だということを話すと、反応は2パターン。無関心か、「最近落ち目の国だね」という反応が返ってきたんです。それがすごく、悔しかった。よく考えてみれば、スマホの時代になってから日本発の世界的な企業は1社も誕生していません。このままだと日本は経済的にも、社会的にも落ちぶれていってしまう。だからこそ、次に来る分野で世界的な波を作るテック企業を作らなければいけないと思ったんです。もう一度、日本をテクノロジーの分野で尊敬される国にすること。これが、僕ら二人の考えるMESONのビジョンです。

 

——PAAKについてお聞きします。半年間いらっしゃって、いかがでしたか?

梶谷さん:スタートアップにとって、初期の頃は特にオフィスをどうするかという問題が出てくるかと思います。そんな中で僕らは最初からPAAKというアクセスも良い場所で、落ち着いてプロジェクトに取り組むことができ、本当に助かりました。

 

——最後に、このインタビューを見ている方へメッセージをどうぞ。

小林さん:株式会社MESONでは、エンジニアとデザイナーを募集中です。僕らのサービスの業界自体はVR、ARなんですが、実際に作っているサービスはWEBサービス。少しでもVRやARに興味あるデザイナーやエンジニアはぜひ、話を聞きに来てもらえればと思いますので、よろしくお願いします。

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