ものづくりの世界的なプラットフォームを目指して──Crafulインタビュー

Craful
大野 拓海

「ハンドメイドなら、クラフル」ものづくりの世界的なプラットフォームを目指して。

大野さんのこれまでの経歴を教えてください。

僕が高校生だった時にITバブルの波が来て、サイバーエージェントの藤田さんや元ライブドアの堀江さんが出てきて…。それを見て単純にすごいな、かっこいいなと思ったんですけど、当時はスタートアップという言葉もまだ日本には浸透していない時代だったので、どうしたらあの人たちのようになれるのかがわからなかったんです。それで、いろいろな職業や仕事を見ることができる仕事に就くのがいいかなと思って、21歳の時に会計士の資格を取りました。でも、その頃の会計士業は就職氷河期ということもあって、最初からベンチャー企業に入ってしまおうと。それで、当時は地元の大阪に住んでいたんですけど、大阪で上場準備をしていたベンチャー企業に入社して、上場実務や経理財務まわりの仕事をしていたのが、社会人1年目のことですね。

その後にクラフルを立ち上げられるまでには、どんな道のりがあったのでしょう?

上場準備をしていたベンチャー企業を辞めて、半年間ほどニートをして、その後に会計系のコンサルティング会社に入社しました。というのも、ベンチャー企業で上場実務や経理財務まわりの仕事をしていても起業のスキルは身につかないなと思ったんです。起業をするなら、プログラミングができるとかデザインができるとか営業ができるとか、そういう能力が必要なんじゃないかなと…。でも、この歳からプログラミングやデザインを極めるのは難しいと思いました。その会計系のコンサルティング会社はエスネットワークスという会社だったんですが、経営理念に「経営者を輩出する」と掲げている会社で。それで、「2年で辞めさせてほしい」ということを最初に言って、入社させてもらいました。その会社で、いわゆる会計コンサルティングのようなことをしながら、多い時では年に10回くらいハッカソンに参加していましたね。その頃から、起業をするならテーマ性を持ったもので勝負したいと考えるようになりました。何をやるにしても、儲からない時でも踏ん張れるものをやるには、テーマ性がないとダメなんじゃないかと。それで、どうせやるなら自分の好きなものをやりたいと思ったんです。

それが、ハンドメイドだったということでしょうか?

そうですね。ハンドメイドの売り買いをするビジネスモデルを世界で最初に作った『ETSY』というスタートアップがあるんですが、ニューヨークで上場していて、すごく売り上げを伸ばしているんです。確か2013年頃だったと思うんですが、その『ETSY』の元COOのアダム・フリードさんが大阪に来ていることを知って、会いに行ったんです。それで、何事も合理化されている世の中で、どうしてハンドメイドというものが求められているのかということを本人に直接聞いてみたら、すごく感動してしまって。もともとハンドメイドが好きだったこともあって、僕もハンドメイドをテーマにしたビジネスをしたいと思うようになったんです。でも、当時は既に『minne』さんがサービスを開始していて、ハンドメイドを売り買いするというビジネスを僕がやる必要はないなと思いました。それで、もともとハンドメイドのものを買ったりするよりも自分で作ることが好きだったこともあって、自分が作る時のことを思い出してみたんです。そうしたら、書籍を買って自分でつくり方を調べて、それでもわからないところがあれば店員さんに聞いたりして…という方法しかない今のハンドメイド業界は、けっこうハードルが高いのかもしれないなと思いました。だったら、ハンドメイドを作るためのプラットフォームを作ることで、単純にハンドメイドをする人を増やすことができたら、世の中はもっとおもしろくなるんじゃないかと。そう思って、起業をすることに決めました。

大野さんは、何事も合理化されているこの時代に、ハンドメイドを作る人のためのプラットフォームの価値をどうお考えですか?

合理的になればなるほど、人の余暇時間は増えます。今の時代は、例えばゲームだったり、Youtubeだったり、さまざまなエンターテイメントによってその余暇時間の奪い合いになっているんですよね。その中で、趣味というものが見直されてきていると思うんです。その一つがハンドメイドだと思うんですが、ハンドメイドのおもしろさは作ること。それは、人生にとってマストではないんですが、それがあることで人の本当の幸せみたいなものが生まれると思うんですよね。無駄なことをどれだけ楽しめるか…。そんな価値観があってもいいんじゃないのかなと。

今現在、アプリの『Craful』とメディアの『Handful』を運営されていますね。改めて、この二つがどのようなサービスなのかを教えてください。

アプリの『Craful』は、「ハンドメイド版クックパッド」を想定して作ったアプリで、ものづくりをする人たちのコミュニケーションプラットフォームとなっています。ここでは、僕たちが何かコンテンツを投稿するのではなくて、ユーザー同士で材料や作り方の情報を交換してもらっています。それに対して『Handful』は、ハンドメイド特化型のウェブメディアです。なので、僕たちがコンテンツを配信していくというかたちになっていて、外部ライターによるハンドメイド関連の記事を月に100本ほど掲載しています。今現在の月間アクティブユーザー数は、65万人ほど。ハンドメイドの好きな人しかいなくて、なおかつそのほとんどが30代、40代の女性です。

月間アクティブユーザー数が65万人いらっしゃるということですが、どのようにリーチしていったのでしょうか?

FacebookとかInstagramを使って拡散していったり、SEO対策をしていったりで、全部オーガニックでリーチしていきました。ハンドメイドは趣向性が強く、読者が求めているコンテンツを届ければ、より、エンゲージメントが高まりやすいで、拡散されやすいというのもあります。

クラフルさんの今後の展望を教えてください。

「料理を作るなら、クックパッド」と言われているように、「ハンドメイドを作るなら、クラフル」と言われるポジションになっていきたいですね。そうして、ハンドメイドの好きな人たちにもっと気軽にものづくりを楽しんでもらえたらと考えています。そのためにいずれは、ハンドメイドのための材料を販売したりとか、カルチャースクールの動画配信をするとか、ハンドメイドを作りたい人のための一気通貫したプラットフォームにしていきたいと思っています。ハンドメイドというカルチャーは、全世界共通のカルチャーです。寒い季節がある国だと、日本と同じようにマフラーを作りますし、あまり地域による違いはないと思うんです。それが料理だと、例えば大阪と東京でも味の違いはありますよね。国を超えたら、さらに違いは出てくると思います。なので、料理の場合は一つのコンテンツで世界中をまわすことは難しいと思うんですが、ハンドメイドはそういう地域差みたいなものはあまりない。なので、もっと規模を大きくしていって、いずれはハンドメイドをする人のための世界的なプラットフォームになれたらと思っています。そうして、日本のハンドメイドの文化や技術を世界に伝えて、海外からハンドメイドの文化や技術を引っ張ってくることが目標です。

ここからは、TECH LAB PAAKについてお聞きします。応募しようと思ったきっかけは、何だったのでしょうか?

去年の夏、神戸で行われた500 Startupsのアクセラレーションプログラムに参加したんです。当時はまだ地元の大阪にいたんですが、やっぱりスタートアップが集まっているような場所に身を置かないといけないなと、その時に思って。情報の密度の濃さの違いもそうですし、いくら大阪で僕だけがモチベーションを上げていっても、一緒にプロダクトを作っていく仲間たちのモチベーションは上がらないんじゃないかと思いました。東京でなら、自然と多くのスタートアップを目にして、交流することで刺激を受けられるんじゃないかと。そうしたら、そのアクセラレーションプログラムに参加していた方がTECH LAB PAAKを紹介してくれたんです。

TECH LAB PAAKのいいところは、どんなところですか?

TECH LAB PAAKにいるスタートアップは、多少の差はあるにしろ同じようなステージにいる人が多いんですよね。でも、プロダクトの内容自体はみんなそれぞればらばらで、競合になる可能性も低いんです。なので、けっこう密にコミュニケーションを取ることができて、お互いに情報交換できるところがいいですね。スタートアップのリアルな話とかは、どんなに検索してもウェブには載っていないんですよね。

成果発表会でオーディエンス賞を獲得されたクラフルさんは、会員の権利が半年間伸びましたよね。今も、TECH LAB PAAKは交流の場として使われているのでしょうか?

そうですね。実は、最近になって本格的に拠点を大阪から東京へ移して、浅草橋にオフィスを構えました。浅草橋には手芸店が多くあって、ハンドメイドの聖地だと僕は思っているんですが、スタートアップはほとんどいないんですよね。なので、週に1回はTECH LAB PAAKに遊びに来て、スタートアップの方たちと積極的に交流するようにしています。

最後に、クラフルさんのプロダクトに興味を持ってくださっている方にメッセージをどうぞ。

メディアを運営しているので、編集者であったり、エンジニアやデザイナーを募集しています。興味がある方は、ぜひ声をかけてくださればと思います。後は、クラフルとは直接関係ないんですけど、浅草橋はリーズナブルでおいしいご飯のお店があったり、物価も安かったりするので、すごくいいところだと思います。ぜひ、みなさん遊びに来てください!

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