日本でもオープンソースの成功事例を作っていきたい──『Boostnote』横溝一将さんインタビュー

CEO / Co-Founder 横溝一将さん
MAISIN&CO.株式会社

「うちの東京オフィスに住んでもいいよ」のひと言で上京

まずは横溝一将さんのプロフィールと経歴を教えていただけますか?

元々僕ら(MAISIN&CO.株式会社)は大学生の頃に地元の福岡で起業しました。まだ本社は福岡に置いているんですが、起業時は受託開発の仕事をメインにしていました。

あるとき、東京で開催されたハッカソンに出て、その審査員をされていた方とのつながりで弊社の今の株主のうちの一人と知り合いました。いろいろと話をしているうちに「東京に出て来ない?」という話になり、僕が東京に行きたいという気持ちもあったのと、しかもその方から「うちの東京のオフィスに住んでもいいよ」というありがたいお言葉をいただいたので、そのときはお金もプロダクトもなかったんですが、それから1~2週間後には福岡の家を引き払って、東京に来ていました(笑)。ですので東京に来てからいろいろと考えてプロダクト開発を始めました。

そこから起業したきっかけはなんだったのでしょう?

よくそれを聞かれるんですが、実は、あまり起業したきっかけを覚えていないんですね(笑)。たまたま気の合う友人がいて、起業できそうだったから彼らと共同創業して現在に至る、という感じです。

ちなみに学生時代に参加したハッカソンでは何を作られたんでしょうか?

実際に参加したのはEdTechのハッカソンだったので、テーマは教育ですね。元々その頃に作っていたのが数式描画ツールのようなもので、それをWEB上で作っていたんですが、ハッカソンでそれを、EdTechに投資していた、弊社の今の株主の目にとまり、お声がけいただきました。

世界中で使われ始めたプロダクトをメインプロダクトに!!

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それではプロダクトについてもう少し詳しく教えていただけますか?

『Boostnote』は、Mac、Windows、LinuxのOS上で動くクライアントアプリです。最初はWEBベースで作っていたんですが、途中からElectronというGitHub製のフレームワークを使って開発しています。

ElectronはJavaScriptだけでクライアントアプリが作れると聞いて、面白そうだからちょっと作ってみるかという気持ちで作り始めたんですが、いまだにElectronの公式サイトで『Boostnote』を紹介してくださっているので、ここをハブに弊社のサービスが世界に広がっています。凄いのが、ここでSlackやMicrosoftのVisual Studio Codeと並列で『Boostnote』も紹介していただいているので、そのおかげで今現在、『Boostnote』は170カ国以上の国に広がっていて、まだ広がりを見せています。

『Boostnote』の利用者としては完全に個人利用の方が多く、今はGitHub上でオープンソースとして公開し、意見等を募りながらサービスの開発を行っています。

オープンソースにした理由はなぜですか?

結果論ではいろいろ言えますが、自分たちがオープンソースでサービスを提供したかった思いが一番強いですね。

たしか2016年の3月か4月あたりにオープンソースにしたんですが、しばらくそのままプロダクトを放置していたら、その間に『Boostnote』を使ってくれている人が増えていて、ダウンロード数が凄く伸びて、コミュニティもできていたんです。オープンソースでモノが広がっていくのを実感しましたね。
それと外国企業の『Facebook』や『Twitter』はオープンソースでライブラリ等を提供していたりするのに、日本の企業にはそういうのが少ないなという違和感を感じていたこともあり、オープンソースという文化を日本でも広げられたら良いな、という思いもありますね。

現在はオープンソースにして良かったなと思えることしかなくて、逆にあのときオープンソースにしてなかったらどうなっていたかな? という恐怖心しかないですね。また、オープンソースにしたことでコミュニティが少しづつ活発になっており、日々の開発において本当に助かっています。

そんな広がりから『Boostnote』をプロダクトのメインにされているということですか?

はい、そうです。あくまでもプログラマー向けのノートアプリというのは、最初の段階に過ぎないので、これをハブにもっと機能を追加するなり、サービスを広げるなりしたいですよね。ま、広義の意味では、開発者向けというのは変えるつもりはありませんが、デザイナー等プログラマー以外の開発者にも使ってもらいたいですね。将来的にIT関連のプロダクトのハブになれるといいなと思っています。

ちなみに、なぜ最初にノートアプリを作ろうと思ったんですか?

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最初はCLI(コマンドライン)用のツールとしてベータ版で出したんですが、その段階でCLIとしてほとんど使われず、スニペットを保存するツールとして使われてたんですね。それならそっちの機能を広げたほうが良いかな? ということで、プログラマー向けのノートアプリを開発することにしました。

それまではコマンドラインのツールを使っていたということですか?

はい。僕らは元々Node.jsを使っていろいろと開発していて、Node.jsではNPM(パッケージを管理するためのツール)でコマンドをおろしていた(実行していた)んですが、そのNPMのコマンドを複数、一気に実行できるようなコマンドラインツールが欲しくて、かつそれをチームで共有したかったんです。ですが、あまりそこにはニーズがなかったようです(笑)。そこでスニペット保存や、Markdown等に対応したりして、現在の形のツールに至ります。

今後『Boostnote』は、どんな方向に進んでいくのでしょうか?

僕たちは、人の知的活動をサポートしていきたいと考えています。プロダクトとしては、人ができることの可能性を拡大できるようなソフトウェアしか作りたくないので、操作の無駄な時間等を排除して、人が自分の能力を発揮できるようなことをソフトウェアを通してやりたいと思っています。人には、人にしかできないことをもっとやって欲しいという思いがありますね。それを達成できるようなソフトウェアを作っていきたいですね。

それとプロダクトの方向性でいうと、すでに多くの外国の方に使っていただいていますが、もっと海外でのシェア率を高めていきたいと思っています。今現在、『Boostnote』は1円もプロモーション費用をかけずに世界に広まっていますが、もっと知名度を上げてプログラマーなら誰でも使っているというツールにしたいですね。なんというか、『Boostnote』を使ってこそプログラマーだと言われるツールまで持って行きたいという思いはあります。

将来的な会社の方向性としてはいかがですか?

技術的なプロダクトを出している会社であるということもありますが、何よりもオープンソース等で多くの技術の恩恵を受けていますので、会社を大きくしていきたいというよりも、我々も社会に対して技術貢献ができるような会社になりたいと思います。また日本でもオープンソースの成功事例を作りたいというのもありますね。
それと日本の企業はプログラマーを若干軽んじているように感じる事もたまにあるので、もっとプログラマーにフォーカスが当たり、技術者が最大限に輝ける会社であり続けたいですね。

また、貧しくてプログラミングをしたくてもできない環境や、経済的な理由でパソコンが普及していない国や地域を支援させて頂くようなことも、技術に恩恵を受けている僕たちは行う必要があると考えています。

横溝一将さんにとってTECH LAB PAAKはどんな場所ですか?

ロケーションもいいし、雰囲気が良いですよね。飲み物もタダだし(笑)。何よりもTECH LAB PAAKのコミュニティ、横のつながりが良いですね。来るのが楽しくなるオフィスですよね。それとスタッフのみなさんがものすごく良い人たちで、コワーキングスペースの良さって、結局は管理する人によるんだなぁという印象ですね。

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最後にエンドユーザーさんに向けてひと言お願いします

『Boostnote』をより便利にしたり、機能追加などは当たり前のこととしてやっていきますので、そこは楽しみにしてもらいつつ、みなさんにはコミュニティで、ただのユーザーさんというよりは、オープンソースなのでコミュニティの一員として、一緒にサービスを盛り上げていって欲しいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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