猫用IoTデバイスから宇宙規模のプロジェクトまで…幅広い分野のチームが参加した最後の成果発表会開催!—OPEN PAAK DAY#12レポート

2018.6.29

3ヶ月に1度行われる成果発表会、OPEN PAAK DAY!

ご存知な方も多いとは思いますが、PAAKはこの度6月末でコミュニティースペースとしての活動を終えるため、6月15日に行われた第12回目のこの会が、最後の成果発表会となりました。

今回もどの回にも負けず劣らずバラエティー豊かなチームが集い、あっと驚くようなプロジェクト勢揃い、熱いピッチを繰り広げてくれました。当日は審査員のみなさんを始め、会場中が熱気に包まれたイベントとなりました!

本レポートでは、当日ピッチを行った12期会員の17チームのピッチ内容を中心に、当日の成果発表会の様子をお伝えしていきます。

 

今回入賞者の審査を務めてくださったのは、以下の審査員のみなさんです。

澤山陽平さん(500 Startups Japanマネージングパートナー)
澤円さん(日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター センター長)
西村賢さん(ITジャーナリスト・元TechCrunch Japan編集長)
山口豪志さん(ProtoStar COO)
畑浩史さん(Amazon Web services スタートアップ事業開発部 プリンシパルマネージャー)
岩本亜弓(TECH LAB PAAK所長)

 

【成果発表(3分ピッチ)】

1.「防犯カメラ解析AI」by田中遼さん(株式会社VAAK)

VAAKが提供するのは、人工知能によって人の動きを検知・予測することで、犯罪を未然に防ぐという防犯カメラ解析サービスだ。店舗や地域の犯罪件数、天候、人の不審な行動、過去の犯行データなどから来店パターンや行動シナリオを総合的に予測し、高い確率で万引き行動を予測可能とのこと。このように不審者対策、人身事故の防止、万引き防止など犯罪を防ぐ目的の他に、レジなし決済や顧客分析にも応用できると考えている。既存の防犯カメラを利用し、クラウドと接続するだけで簡単に店舗へ導入できるため、相場の半額以下でサービスを提供できることも他社との差別化を図る特徴の一つだ。

 

2.「ALIS project」by水澤貴さん(株式会社ALIS)

ALISが目指すのは、信頼の可視化で人と人のつながりをなめらかにすることだ。そのためのソリューションとして、信頼できる記事と信頼できる人々にいち早く出会うことができるソーシャルメディア「ALIS」を提供している。いいねを獲得した記事を書いた人と、信頼できる記事にいち早くいいねした人にALISトークンを配布すること。ブロックチェーン技術とトークンによるインセンティブ設計を活用していること。日本の一部WEBメディアの情報信頼性の低さとブロックチェーン産業の遅れによる課題間から、資金調達に関してICOを実施していることが特徴だ。

 

3.「秒速キュレーションメディア」by石井淳史さん

求人系メディアの構築、SEO、M&Aなど経験してきた中で、キュレーションメディアは自動で作れるのではないかという思いが常々あったという石井さん。そこで、まずは文章のクオリティーがそこまで求められない画像のキュレーションメディア「TalentImage」を立ち上げたとのこと。タレントの画像を自動解析して、尋常ではない速さで記事を作成することができるためにコストも最小限で抑えられるが、3,000記事を挙げて1日の売り上げは1,500円。今後は、キュレーションメディアが参入しづらい不動産、求人領域に応用していきたいと語った。

 

4.「TEISY」by目良慶太さん(株式会社QLIOPAAK)

QLIOPAAKが提供する「TEISY」は、レポート業務に特化した業務効率化サービス。このサービスを開発する背景には、インターネット広告が伸長し、広告フォーマットが多様化してきたことで、レポート業務が増えている現状があるとのこと。一般的に、エクセルを使って20ページ分のレポートを作成するのに6時間かかるところを、「TEISY」を使えば5分で自動的にレポートを作成できるソリューションになっている。対応しているものは、Google AnalyticsやSNSなどネット広告や、MACROMILLやsalesforceなどビジネスツールといった多岐に渡る。現在、5社ほどの導入実績があるそうだ。

 

5.「TOLETTA(トレッタ)」by堀宏治さん(株式会社ハチたま)

猫の死因トップは腎不全と言われていて、初期で発見するのと末期で発見するのとでは、寿命に3年もの差が出ると言われている。腎不全の初期には多尿や体重減少といった症状が現れるが、ほとんどの飼い主はそれに気づくことができないそうだ。そこでハチたまが開発するのは、猫がトイレに入ると自動で体重と尿量・回数を測定し、腎不全の初期症状を検知するIoTトイレ「TOLETTA」だ。カメラで顔認識することで、複数の猫を見分けることも可能。ヘルスケアデータを基軸としていることで、単なるIoTデバイスではなく、猫ヘルスケアプラットフォームとなっている。今後は、大手のペットフード企業や保険会社と提携する予定で、「世界猫の日」の8月8日にはデバイスを発売するとのこと。

 

6.「OMNI-CORE」by島井尚輝さん(株式会社Pear)

Pearが開発しているのは、最小のアクションで最大の売り上げを生み出すスマートECプラットフォーム「OMNI-CORE」。具体的な機能の一つに、Pearがこれまでコンサルティングをしてきた経験を活かして、コンサルティング業務を自動で行うというものがある。具体的な機能の内容としては、自動で店舗にヒアリングをしたり、APIを使って楽天などの売り上げデータを取得したりして構築した総合データをもとに、スタッフのためのタスクを生成するというものになっているそうだ。直近はコンサルティングの自動化に特化するが、困った時に何でも聞けるドラえもんのようなシステムを目指していきたいと語った。

 

7.「ダチョウ抗体によるフードサイエンス」by井上雄介さん(VitaLonga株式会社)

VitaLongaは、ダチョウから取れる抗体を食品に入れるための技術を開発している。この抗体フードによってさまざまな病を治すことができると考えられており、現在は第一段階としてインフルエンザや花粉症の分野に特化しているとのこと。ダチョウ抗体の特質すべき点は、これまで1gにつき1億円という莫大な費用がかかっていた抗体を、1g10万円という低コストで大量生産が可能になったこと。これまでは10度までしか保存できなかったが、ダチョウ抗体の場合は70度まで保存可能なほど熱に強く、食品に入れられるようになったことの二つ。科学的にも効果が実証されており、医薬品ではなく食品であるために自由に購入することができ、味へのこだわりも考えられているとのこと。

 

8.「AI Patent」by小西哲平さん

企業の成長に必要不可欠なものはいくつも挙げられるが、その中でも小西さんは知的財産戦略が大切だと語る。知的財産戦略は企業の価値と競争力を示す必要事項であり、そのためには必ず知財調査が必須だ。一例を出すと、1件あたり50万円程度、年間1,000件程度という莫大なコストと時間がかかるとのこと。そこで小西さんが開発するのは、出願アイデアや調査要件をもとにAIが特許を概念的に理解して、自動的に知財調査を行うことのできるサービス「AI Patent」だ。キーワードではなく文章で検索可能であることが特徴で、他社特許との比較も簡単にできるとのこと。

 

9.「Kazamidori」by久保直生さん(株式会社Kazamidori)

Kazamidoriは幼児教育全般に関する事業を行っており、生まれた環境や生い立ちに関係なく、誰もが教育の機会を得ることができる世界を目指して幼児教育メソッドの開発を行っている。具体的に事業として行っているのは、大きく分けて三つ。家庭での親へのアドバイス事業と、保育所や幼稚園での業務改善事業、政治や行政へ働きかけるなど制度面での事業だ。現在、研究所として役割を果たしていくためのNPO法人設立を控えており、ここでの研究成果を随時事業に活かしていく方針になるとのこと。また、幼児教育メディア「Kazamidori」も近日リリース予定になっていて、親が子育てのビジョンを描くための参考書のような立ち位置にしていきたいと語った。

 

10.「Kimakuri」by中里裕史さん(株式会社BloomScheme)

「Kimakuri」は、気に入った洋服をオンライン上で簡単に試着体験することができる仮想試着サービスだ。ファッション雑誌では自分の顔や体型に似合うかどうかわからない、でも実店舗に行くのは面倒、ECサイトで注文したとしても到着までに時間がかかる、といった問題を解決できるものとなっている。実際にサービスを利用するには、あらかじめ自分の顔写真をアップロードし、体型を入力しておく。すると顔写真が3D化され、ユーザーが試着ボタンを押すと自分の体型にフィットした試着イメージが表示されるというサービスだ。試着イメージはユーザーがSNS上でシェアでき、直接ECサイトにダイレクトに飛んで商品を購入することも可能。6月末には、クローズドのベータ版をリリース予定だと語った。

 

11.「宇宙居住施設」by伊藤彰朗さん(株式会社OUTSENSE)

OUTSENSEは折り紙技術を使って、宇宙で人が住むための居住施設の開発を行っている。改良を重ねた結果、特許申請中の屋根付き宇宙居住空間を現在開発しているとのことで、生命を維持するだけでなく、快適な生活をすることができる居住空間作りを目指しているそうだ。同時にその家を自動で組み立てる技術も開発しているとのこと。世界的に宇宙開発が進む中で、2030年には月面での有人活動がスタートすることが予想されている。OUTSENSEもこれを見据え、居住施設の設計、モックアップ作成、ビジネス開発などを進めていくと語った。

 

【成果発表(1分ピッチ)】

12.「VIDEO TRAX」「GOLDEN BEAR PRODUCTION」by大社武さん(株式会社TORIHADA)

TORIHADAが行っているのは、動画の企画・制作・配信を請け負う動画マーケティング事業だ。プロダクトとしては、「VIDEO TRAX」と「GOLDEN BEAR PRODUCTION」の二つがある。ブランド領域でしっかりとした制作力と配信力、ターゲティングとアドテクを用いて制作を行っている。PAAK入会後には80案件をこなし、初年度の年商は2億円を見通しているとのこと。

 

13.「CodeSupporter」高澤真史さん(株式会社イミル)

ユーザーがWEBアプリを開発する中で、困った時にビデオチャットで相談することができるサービスを開発しているイミル。内容は、相談者と開発のプロであるサポーターをマッチングさせるというものだ。今年の2月にベータ版をリリースしたところ、会員数の約14%が活用しており、課金を行ったとのこと。今後は、Slackでbotを呼び出し、直接サポーターとつながることができるツールにピボットしていく予定だ。

 

14.「Resco」by並河大地さん(OneChance)

「Resco」は、マイクロ有名人と1対1でチャットができるアプリだ。安全であるかどうか、返事を返すのが大変ではないかという有名人の不安と、感情のやり取りをしたいというファンの要望どちらもクリアして開発した結果、「やっほー」というプッシュ通知と絵文字のみを送り合えるアプリとなったそうだ。現在、自身が運営するアイドルと実証実験中であるが、ファン側からの送信回数には制限があるため、Twitter上では課金機能追加の要望も挙がってきているとのこと。

 

15.「O3」by Arco Oliemansさん

ブロックチェーン技術を使って、スマートエコノミーのためのスマートウォレットを開発しているArcoさん。これにより、ユーザーは資産を全て自分でコントロールできるようになるとのこと。今年の1月にiOS・アンドロイドのアプリをリリースし、現在はデスクトップ用のアプリも開発中。1週間ごとに8%のユーザーが増え続けているそうで、未来を待つのではなく自分たちで未来を作っていきたいと今後のビジョンを語った。

 

16.「Trapy」by吉江拓哉さん

(当日、欠席)

 

17.「animal CHAT」by柴田穣さん

ペットの飼い主と獣医のマッチングを通して、動物の健康管理のあり方を変えるサービス作りを目指している柴田さん。ネット上で双方をマッチングさせ、さらにそこにシッターを介入させることで、ペットを動物病院に連れて行くための送迎や留守中の世話などを簡単に依頼することができるオンラインプラットフォームを構築してきたそうだ。しかし現在は、ペンディングしているとのこと。

 

18.「YourPacifier」by山蔦栄太郎さん(Team Rota++)

「YourPacifier」は、赤ちゃんの健康状態を正しく理解して子育てを支援するためのスマートおしゃぶりだ。例えば赤ちゃんが急に吐いてしまった時、すぐに病院に連れて行くべき状態なのか、行かなくても大丈夫なのかを、赤ちゃんの唇から読み取った情報をアプリに転送することで、親が適切な判断をするのに役立つソリューションとなっている。

 

 

こうして全17チームの発表が、終了しました。12期メンバーのみなさん、限られた時間の中で熱い思いが込もったピッチをありがとうございました!そして、半年間のPAAK生活、本当にお疲れさまでした。

成果発表後はいよいよ、審査員による特別賞の発表へ。受賞されたみなさん、本当におめでとうございます!本レポートでは、賞を受賞されたプロジェクトの紹介、受賞したチームの喜びの声、審査員による講評を続いて掲載しております。ぜひ、最後までご覧ください。

 

【Microsoft賞】

「Kazamidori」by久保直生さん(株式会社Kazamidori)

副賞:タラバガニ姿 1.5kg&澤さんにマイクロソフトテクノロジーセンターを案内してもらえる権利、プレゼンテーション指導してもらえる権利

澤さんの講評「教育の分野に興味があることと、プレゼンの仕方に改善の余地があることから教育し甲斐があるなと感じました。ストーリーを作ってしまえば、味方になってくれる人は多いはず。そこも含めて、応援させていただきたいと思っています」

受賞者のコメント「ここまでたどり着くまでに紆余曲折あったので、とても嬉しいです。また、プレゼンテーションについても指導してもらえるということで今からワクワクしています。ありがとうございました」

【500 Startups Japan賞】

「TOLETTA(トレッタ)」by堀宏治さん(株式会社ハチたま)

副賞:松阪牛&神戸牛 食べ比べセット

澤山さんの講評「猫が好きなんだよね、という話は置いておいて、着々とプロダクトを作ってきたところがすごいなと思っているのと、某大手企業が近い商品を出したのでこれからかなり激しい戦いになるはずなので、そこを応援したいなと思っています」

受賞者のコメント:欠席のため、割愛

【Protostar賞】

「Kimakuri」by中里裕史さん(株式会社BloomScheme)

副賞:ハイアットリージェンシー東京 フレンチレストラン「キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ 2名様分

山口さんの講評「今年から衣食住を投資対象としていきたいと考えていて、特につい最近、やっぱり服は楽しいよねということを話していたところなので、これは運命だと思い選ばせていただきました。いろいろな支援ができると思うので、よろしくお願いします」

受賞者のコメント「世の中を美しいもので埋め尽くそう、というミッションでやっていて、美しさは人によるという考えもあるかもしれませんが、そこに費やした労力は『Kimakuri』を通じて計ることができると思っています。今後はヘアスタイルやインテリアにも領域を広げていきたいと思っているので、ご支援お願いします。」

【西村賞】

「ダチョウ抗体によるフードサイエンス」by井上雄介さん(VitaLonga株式会社)

副賞:東京 品川 屋形船 3名様 飲み物付き食事乗合船

西村さんの講評「メディアの記事にしたい。記事にしたらすごくバズりそう。逆に言えばすごくマーケットがあるんじゃないかなと思っています。ユーグレナのようなインパクトがあるし、もしも1割、2割の人でも花粉症を本当に軽減することができたら素晴らしいと思っています」

受賞者のコメント「みなさんの反応が良くて、ピッチはすごく話しやすかったです。西村さんが1割、2割の人でも、という風におっしゃいましたが、花粉症の9割の人に効くはずです、多分。なので、今後ともよろしくお願いします」

【AWS賞】

「防犯カメラ解析AI」by田中遼さん(株式会社VAAK)

副賞:Amazonギフトカード3万円分&Amazon Echo

畑さんの講評「Amazon Go的なものが出てきたので、これはいかないといけないなと。Amazon Goは僕も何度か体験しに行ったんですけど、本当に体験するとワオッという感じなので、そういったものがどんどん広がっていくといいなと思い選びました」

受賞者のコメント:欠席のため、割愛

【TECH LAB PAAK賞】

「宇宙居住施設」by伊藤彰朗さん(株式会社OUTSENSE)

副賞:AppleStoreギフトカード 3万円分

岩本の講評「PAAKに入居するときの面接で初めて彼らと会って、組み立てるところを見て感動して、その後も真剣に取組んでいる姿を見ていいなと思ったのと、後は“やるか、死ぬか”という名言も最高だったので選びました。ぜひ、私を宇宙に行かせてください」

受賞者のコメント「PAAKに入居したことで本当に開発のスピードが上がって、進歩して。本当に入居させてもらって良かったです。ありがとうございました」

【オーディエンス賞】※会場にいるオーディエンスの投票により決定

「Kimakuri」by中里裕史さん(株式会社BloomScheme)

副賞:シャンパンの貴婦人「テタンジェ」6,000ml