【実施報告】シリコンバレーの現地IT企業から学ぶ!「テクノロジーで世界をよりよくする」ワークショップレポート(前編)

2017.4.14

「テクノロジーで世界をよりよくする」ことを学ぶ『Silicon Valley Workshop 2017』が、3月5日から約10日間開催されました!今回で3回目となるこのワークショップは、多数の応募者から選ばれた主に大学生・若手エンジニアと、リクルートの技術(エンジニア)メンター3名が、シリコンバレーの企業・研究施設を訪問し、現地でしか得られないリアルな情報・知見・ネットワークを体感する特別なプログラムです。(2016年11月時の参加募集概要はこちら)前回までの訪問企業や参加者を通じて、回を重ねるごとに繋がりが広がってきている本ワークショップ。訪問企業を中心に、前・後編2本立てのレポートをお届けします!

Silicon Valley Workshop 2017 主なスケジュール
3/5 出発、観光
3/6 Recruit Institute of Technology、GitHub訪問
3/7 HOMMA訪問
3/8 Stanford大学訪問
3/9 Google、YJ America、Airbnb訪問
3/10  自由行動(企業/大学訪問など)
3/11  自由行動、成果発表
3/12  観光
3/13  帰国

Recruit Institute of Technology: 人類の幸せに活用するAI研究

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まず1日目は、リクルートの人工知能研究機関のグローバル研究開発拠点として2015年11月にシリコンバレーに新設されたRecruit Institute of Technology(RIT)へ。Google Research出身でデータマネジメントと人工知能研究において世界的権威である、所長のアロン・ハレヴィ氏からお話を伺いました。(参考記事: シリーズAIといま アロン・ハレヴィ インタビュー

Can Artificial Intelligence Create a Better World?(人工知能はより良い世界をつくれるか?)」と題されたお話では、『第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来』という書籍の紹介を皮切りに、これまでのテクノロジーの進化や次世代インターフェイスとしてのチャットなどについてお話しいただきました。人工知能研究の世界的権威と聞くと緊張してしまいそうですが、ユーモアも交えながら時折少年のような笑顔でお話しされるアロン氏。これまで様々なアプリを使って行っていたことが1つのチャットツールに集約される理想形や、自宅で撮影されたAmazon Echoを通じて購買履歴やエアコンのフィルター交換時期の記録を行うデモ映像を披露していただきました。

また、ビッグデータ研究の仕事をする上で、リクルートではリクナビやゼクシィなど200以上のサービスを通じた、ユーザーの「人生の節目の決断」のライフログデータを持っていることが最大の魅力と語っていました。AIを使って、質・量を持ったデータを生かし、「人類を幸せにする」という目標に向かって研究するRIT。その明確なビジョンに感銘をうけた参加者たちは、初日からまだ緊張していながらも、積極的に英語で質問したり、チャレンジする姿勢を見せていました!

GitHub: Asynchronous(非同期性)が特徴的なリモートファーストの働き方

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続いて向かったのはGitHub本社!コンピューターのプログラムに限らず、あらゆるファイルの履歴を保存・管理できるエンジニア御用達のGitHubの本社は、サンフランシスコ市内のレンガ造りの元倉庫や工場が並んだエリアにあります。おなじみのOctocat(正式名称: Monalisa)ロゴが出迎えるエントランスから入ると、ダンスパーティーでもできそうな空間が広がっていました! 元果物の倉庫をリノベーションしたという5000㎡の広さをもつオフィスの1階は、ドリンクバーやビリヤード台、イベントスペースが設けられています。まずはスタッフの方に社内ツアーを行っていただきました。

基本的に2階はエンジニア、3階は人事・経理のスペースに分けられていますが、オフィス内はいつも音楽がながれ、飲み物(本格的なバーも!)やお菓子スペース、トレーニングジムやDIY工房も設けられていたりとリラックスした雰囲気が広がっています。CEOも個室ではなく、社員と同じようにデスクを並べ、誰でも気軽に話しかけやすくしているようです。訪問者向けにTシャツやステッカーなどのグッズが置いてあるOctoShopも設置されていたりと、社員にも訪問者にも快適な環境や体験を提供しようとする風土が感じられました。その後は1階のイベントスペースに戻り、GitHubが会社として大切にしている理念やリモートワークの働き方などについて以下の方々にお話しいただきました。

マット・シャー氏:Developer Marketing Manager
マーシャ・キャノン氏:Talent Strategist
ニキ・ラスティグ氏:Sr. Manager Learning & Development,
リサ・ピアース氏:Hiring and Onboarding coordinator
クリスティーナ・ノリス氏:Learning & Development coordinator

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特に印象に残ったのは「リモートファースト」をうたう会社の文化。全世界18カ国にいる社員(通称: Githubber)計約600人のうち、6割がリモートで働いているとのことでした。当日もラスベガスからマーシャ氏にインターネット中継でお話しいただき、Asyncronouce(非同期)なGitHub特有のコミュニケーションスタイルにおいては、3つのC(Communicate, Create, Collaboration)を大切にし、社内での意識共有を大切にしているとのことでした。より柔軟性・自由性の高い働き方を強めながらも、チーム間の絆を深めていこうとする会社の姿勢がよく現れている仕組みに思われました。

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HOMMA: 日本人3名から伺うシリコンバレーで挑戦するリアル

2日目は、HOMMAオフィスへ訪問!HOMMAとは、本間毅氏が「Redefining Our Standard of Living」というコンセプトのもと立ち上げたスマートホームのスタートアップです。当日は、本間氏も含めシリコンバレーで活躍する下記の日本人3名による豪華セッションを特別に開いていただきました!

本間毅氏: HOMMA Founder and CEO 元 楽天株式会社 執行役員
吉田大氏: 吉田大法律事務所 代表 弁護士
安武弘晃氏:カーディナル合同会社 代表社員 Junify, Co-forunder 元 楽天株式会社 取締役 常務執行役員

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3名とも多様なキャリアを経て現在シリコンバレーに住んでおられますが、共通するのは、今後高齢化し労働人口も減っていく日本の未来のためにも、海外で活躍する日本人を増やしたいという思いです。まさにこれからの日本を支える世代となるであろう参加者たちから、3名への質問への解答を中心に、ご紹介いたします!

シリコンバレーと日本の違いとは?

「自分がやりたいと思うことを誰も止めようとせず、応援する文化があること。同業会社の中での転職の流動性が高く、破壊的イノベーションが生まれるエコシステムができていること。人の繋がりが何よりも重要で、見返りを求めず積極的に人へ与え続ける気持ちが大切。」(本間氏)

「金曜日はアメリカ人は働かないと言われたりするが、シリコンバレーはアウトプットありきの世界で、メリハリのある働き方をしているだけであり、状況によっては時間も関係なく働き続ける。」(吉田氏)

起業に挑戦するタイミングと向き合うべきリスクとは?

「目の前にあるチャンスを逃すことには、お金よりも時間を失うという大きなリスクがある。撤退基準は家族や自分の生活が破綻しないことで、最悪失敗してお金を失っても日本にもどって働けば良いと考えている。」(安武氏)

「今目の前にチケットがないなら、腕を磨いて待っていれば良い。起業が目的になってはいけない。」(吉田氏)

自身がこれから目指すこと

「お金儲けではなく、HOMMAのスマートホームが世の中に広まって、ユーザーを幸せにすることで自分も暮らせるという、持続可能性をもった社会貢献。」(本間氏)

「目に見える範囲の人達を幸せにしたい、という思いがあり、自分にとってその人達とはエンジニア。日本では、優秀でも待遇や環境が見合っていないたくさんのエンジニアたちを見てきて、彼らがカッコよく活躍できる世界を目指したい。」(安武氏)

「スタートアップの人たちが過酷な状況の中、人生を賭けて進むステージを、弁護士という役割から全力でサポートしたい。」(吉田氏)

大企業で働いてこそ得られること

「大企業では人材育成として学びのチャンスを得られることも多い。その中で、自分がやりたいことに対して、資本面も含めてどれだけ意思決定に関与できるかがポイント。」(安武氏)

自分の仕事を選ぶための3つのポイント(本間氏)

1. 自分が好きなことをする。
2. なんでも良いわけではなく、自分が得意なことを選ぶ。
3. 世の中の役に立つことをする。


一人一人の目を見て真剣に、力強くお答えいただく3名の姿からは、やはり日本の未来のためにも少しでも参加者の力になりたいという気持ちが伝わってくる濃密な1時間半のセッションとなりました。その後はランチもご一緒させていただき、参加者たちはオフレコな裏話まで含めてリアルな話をゆっくり聞ける時間を過ごせたようです。

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その後の帰り道では、Intel本社にあるIntel Museumにも立ち寄りました。Intelの歴史から始まり、どうやってマイクロプロセッサーなどのチップを作っているかを解説したものや、創立者のゴードン・ムーア氏による有名なムーアの法則を説明するパネルの展示に、参加者も興奮の様子でした!

ホテルに到着後はリクルートの技術(エンジニア)メンターとのミーティング。各自担当メンターと毎日話し合い、訪問先での気づきや翌日の行動・質問事項などを共有することで、現地でしか得られないことへの学びにフォーカスします。

Stanford大学: ヘルスケア改善に生かすビッグデータの研究

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3日目はフーバー大統領やYahoo!創業者を輩出してきたスタンフォード大学へ!東京の練馬区と同面積とも言われる広大な敷地を歩いて、あのビル・ゲイツ氏が約7億円を出資して作られた「WILLIAM GATES COMPUTER SCIENCE」校舎に向かいました。(ビルはウィリアムのニックネーム)

こちらではコンピューターサイエンス博士候補として、人間の行動に関するビッグデータの分析を研究されている、ティム・アルソフ氏より「Leveraging Data Science to Improve Human Well-Being and Health(人間のヘルスケア改善に生かすビッグデータの活用)」というテーマで講義を聴講させていただきました。データサイエンスは社会課題を解決することができると話すティム氏。スマホやウォッチなどのウェアラブルデバイスから集めたビッグデータを活用し、人々の健康を測定・理解・改善させることができると考えています。

当日は以下の3点におけるヘルスケアへの影響を分析された研究を発表いただきました。

1. 運動をする人とSNSで友達になることによる本人の運動量の変化
2. グループ内で歩数を競わせることによる運動量の変化
3. PokemonGOを例とした、ゲーミフィケーションによる運動量の変化

なかでも、PokemonGoの分析では、マイクロソフトとの共同研究により、マイクロソフトバンドの使用ユーザーのうち、Bingでの検索ワード履歴(PokemonGOサーバーダウンに関する検索履歴など)からアプリユーザーを絞り込みデータを分析。多くのヘルスケアアプリユーザーは元々平均以上の運動量があるのに対し、PokemonGoは元々平均以下の運動量の人たちにリーチし、使用開始後は大幅に運動量が増加していることが分かりました。ゲームをしなくなるにつれ運動量を維持することの課題は残りますが、企業との連携やPokemonGoを題材とされていることなど、シリコンバレーならではの研究が感じられる講義でした。データサイエンスを研究する参加者も多く、講義後には個別の質問も殺到しており、ティム氏も日本からの熱意ある来訪に嬉しそうな様子でした。

その後は大学内でランチを取り、キャンパスツアーへ。この日はシリコンバレーに到着してから初めての快晴で、気温も15度前後の最高の気候。まぶしい陽光のなか、自転車やスケートボードで颯爽と校内を走る学生達の表情がなんとも気持ち良さそうでした。理想の環境ともいえる施設のなかで刺激を受けながら、参加者同士の表情が和らいでいくのを感じられました。

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近日公開予定の後編では・・・
今や宿泊だけでなく「体験」を提供するAirbnbや、Googleの日本人エンジニアへの訪問など、盛りだくさんの内容でお届け予定です!お楽しみに!

現在、Silicon Valley WorkShop 2017 summerの参加者を募集中!!!
■応募締め切り 6月22日(木) ~23:59 エントリーシート提出締切
■応募&詳細はこちらのページから → http://techlabpaak.com/siliconvalleyworkshop2017summer