『VRメディアサミット』開催。 VRメディア編集長が一同に集結しスタートアップとVRの未来を語る!

2016.10.21

97日、TECH LAB PAAK 6階にてVRの未来を語るトークイベント『VRメディアサミット』が開催されました。

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このVRメディアサミットは、VRメディアとVRスタートアップを結びつけることでVR業界の活性化と促進を目的とし、VRを中心とした各メディアの編集長をお招きして、2部構成でトークセッションが行われました。

まずは、Engadget日本版 編集長の鷹木創氏による基調講演が行われました。テーマとしてあげられたのは「マーケット黎明期におけるメディアの役割」。

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元々2004年に米国で生まれた、ガジェットを中心としたウェブメディアの「Engadget」。現在、日本版の月間PV15002000万ほどあるそうですが、それでも1PV以上ある本家から見ると大きくはなく、相手にされないような状況でした。そんなときにおこったのが、メイカームーブメントです。自分たちでガジェットを作れば本家アメリカ版に掲載されるのではないかというアイデアから、「電子工作部」というオフラインイベントを開催しています。

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これまで23回開催された、この「電子工作部」で得られたことは、IoTの可能性の大きさ、さらに、参加する読者の熱量を実感できたことだといいます。今話題のVRもこのようなイベントをきっかけにもっと盛り上げていきたいし、“VR体験”を記事にするのは難しいけど、ぜひ実際に触れてみて、その素晴らしさを感じてもらえれば、とお話しいただきました。

VRが盛り上がるのは数年後?「編集長が語る!VRスタートアップの未来」

続いては本題のトークセッション。
前半は、リクルートホールディングス R&D本部 TECH LAB PAAK事務局の宇都宮竜司氏がモデレーターを担当しました。

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メディア側登壇者
PANORA編集長 広田稔氏、
Mogura VR編集長 久保田瞬氏、
あおぞらVR編集長 早坂亮輔氏

以上の3名にご登壇いただき、「編集長が語る!VRスタートアップの未来」をテーマにトークセッションがスタートしました。

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――うまくいっているVRスタートアップの共通点を教えてください。

広田氏:VRに限った話ではないですが、視点がユニークかどうかは重要です。

久保田氏:個人的にはまだうまくいったと言い切れるところは無いと思います。海外で数十億円資金調達したところでも、具体的にビジネスモデルを作ってマネタイズして回しているところはありません。そういう意味では、結果はまだまったくわかりません。これからVRスタートアップを目指している人たちにも、チャンスがある業界だと思います。

広田氏:VRならではという体験を、まだまだ発見できていない部分もありますね。

久保田氏:コンテンツもストアをのぞいてみると、正直面白そうなタイトルが少ない。まだ黎明期かなと。

広田氏:VRならではという話だと、手と体を使ったアクションがないと厳しいという考えもありますね。

久保田氏:VRゲームと呼ばれているものが、だんだんゲームではなく、任天堂のWiiみたいに、ゲームをしながら体を動かすといった感じでスポーツのように全く新しいエンターテイメントの形になってきているので、どうエンターテイメント性を持たせられるかが肝かな、とも思っています。

早坂氏:海外事例ですが、「StarVR」は、流通が強い会社から技術提供を受けていて必要な資金も抑えています。日本でも「FOVE」は技術だけではなく特許を押さえていて、他から攻められないようにしています。このような点も、うまくいくスタートアップの特徴だと思います。

――注目されているVR企業はございますか?

早坂氏:こちらも海外になりますが、「Project Nourished」という味覚を表現するというプロジェクトがあります。ヘッドセットを付けて、香りが出るディフューザーと3Dプリンターで出力した食べ物を食べて、食生活の改善をしようというものです。これは面白いなと。

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――VR/AR/MRの「隠れた真実」があれば、お聞かせください。

広田氏:今年はVR元年と言われていますが、大きく盛り上がるのはもっと後だと思っています。自分の中では、2020年ぐらいではないかなと。

久保田氏:テクノロジーの進歩や業界としての加速がものすごいんです。「Oculus Rift」のDK1という最初の開発者キットを体験した人が、現行機種を体験するとほとんど違うものに感じるほどに進化しています。新しいVRのデバイスが出たら、リアルタイムに体験していただいて、その変化を感じていただきたいです。

広田氏:VRが抱える様々な問題の1つに、「斜視」があります。若年層がVRデバイスを使うと、斜視になりやすいと入れ言われているため、使用には年齢制限が設けられていますが、実は、「斜視」を改善する「Vivid Vision」というVRプロジェクトもあるんですよ。

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――最後に、今後VR業界にどんなことをしかけていきたいですか?

早坂氏:メディアを作ったときに決めていたことですが、VRに興味を持っているような人たちがメディアを見てさらに面白そうと思ってくれるようなものに成長させていきたいと思っています。

久保田氏:VRを当たり前のモノにするというのが僕らのミッションなので、それに関わることをやっていきたいです。情報を仕入れるだけではVRの良さはわかりません。誰も思いつかないような面白いことが出来たらいいのかなと思っています。メディアをベースにVRを普及させていけたら、本望だなぁと思います。

広田氏:実直にメディアをやっていきたいと思っています。クリエイターの人から話を聞いて、それを知りたい人たちにシェアしていきたいという思いがあります。(今のVRブームは)情熱みたいなものが、たくさん生まれている時代だと思っています、それを時代の証として残していけるメディアにしていきたいですね。

VRの登場でメディアの形も変わっていく!「編集長が語るVRメディアの未来」

ここから第2部がスタート。モデレーターを務めるのは、クリーク・アンド・リバー社 渡辺愛美氏。

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ご登壇者
VRFREEK編集長 上林将司氏
WebGL総本山編集長 杉本雅広氏
VRbeat編集長 高橋ピョン太氏
Spcial VR Info編集長 原孝則氏

「編集長が語るVRメディアの未来」をテーマに様々な視点からお話しを伺いました。

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――なぜVRメディアを運営しているのかお聞かせください。

上林氏:「VRFREEK」は寺島情報企画から出させて頂いている雑誌です。ほかにも音楽制作の総合情報誌などを出版していますが、わたしたちは「本」で新しいことを表現していきたいと考えています。
取り上げる技術などが飽和してきた昨今、次のメディアの核となる面白いものを探している中で出会ったのがVRです。VRの紙のメディアはひとつもなかったので、やるしかないなと。
ウェブに比べてタイムラグのある紙のメディアをやっているわけですが、広告業界やデバイスを作られている会社などにヒアリングを行い、取材先を決めています。そこから面白い方を紹介していただくなど、旬を逃さないようにしています。

杉本氏:ちなみにわたしが手掛けているのはVRメディアではなく、WebGLのメディアなんです(笑)。
個人的な話をしますと、私はWebGLを愛しています。なかなか日本で認知されていかないという苦しい状況ですが、少しでも多くの人に素晴らしさを伝えたいという思いでサイトを立ち上げました。VRもやってみないとわからないところがあるなと感じていまして、「Vive」や「Oculus Rift」を入手しています。まぁ、高いですね(笑)。自分でやってみただけでは分からない部分も多かったので、嫁さんにも体験してもらいました。すると、2時間ぐらい休憩もせずにやっていました。デジタルに疎くても、夢中になって遊ぶんですよね。「ウェブでVRをやる意味はなんなの?」という部分に関しては、正直わかりません。わかりませんが、VRは素晴らしいなと感じています。

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高橋氏:“VRが面白いというのは確実だ”と、僕は思っています。みなさん今は「VR」とおっしゃいますが、昔の人は「バーチャルリアリティ」と呼んでいて、呼び方によって「バーチャルリアリティ」世代と「VR」世代というのがあると思っています。「バーチャルリアリティ」という概念が生まれた当時、最新技術ではありましたが、クオリティは低いものでした。でも、今のは段違いにすごい!ということをわからせたい。自分の面白体験をメディアで伝えたい。そんな気持ちで参加しています。

原氏:「バーチャルリアリティ」そのものが、数年前からあり、今これだけ市場として盛り上がっている中で、まさにこのイベントがそうですが、何かのきっかけであったり、橋渡しだったり、何か興味を持った時に、一番簡単に、最初に目に触れるのが、メディアだと思っています。最大の理由は、「好奇心」でしかないと思います。

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――「こんなVRの未来は嫌だ」をテーマにお話をお聞かせください。

原氏:普及しなければならない状況になってしまうことです。「バーチャルリアリティ」自体は数十年前からありましたが、一般的な家庭には普及しませんでした。今は技術力や市場も追いついてきて、VRとして市場が切り開けるというタイミングです。それが、一般のユーザーに届かないのは最悪の結果だと思っています。
文章や画像だけの表現では限界がありますし、VRの魅力は言葉では伝えられません。体験してこそ最大値で伝えることができます。メディアとして、VRの世界でどういったアプローチができるのかを考えていかないと、未来や市場で発展していく役割は薄まってしまうかな、と思っています。

高橋氏:笑わせるネタを考えるのかな? と思ったんですけど(笑)。社長にはVRでしか会えないとか。そんな会社はいやですねー。(笑)そういうのを考えていました。一回付けたらなかなか取れないヘッドマウントディスプレイとか(笑)。

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杉本氏:VRを嫌いな人を減らしたいですよね。嫌な思いをした人が増えていくというのは、VRメディアを運用している人間として悲しいので。
ひとりでも多くの人にとって、リアルなVR体験が楽しい思い出であってほしいですね。

上林氏:まだいろんな問題点があると思いますが、これから現実とVRの境がわからなくなるぐらいVRがメインになってくる可能性もあるのかなと考えています。そんななかで、本物のリアル体験というのも忘れないようにしていきたいですね(笑)。

――今後どんなメディアにしていきたいですか?

原氏:ゲームは引き続き取り上げていきます。これから医療や教育、アミューズメント、プロモーションなどいろいろな形でVRは使われていくと思いますが、そうしたものを網羅して、情報を提供していきたいです。価値の高い記事を提供していくのが大前提ですが、メディアとして情報を提供する以外のこともやらなければいけないと、常に感じています。我々がVRを作ったり、あるいはVRでしか見られないメディアを作るとか? 枠にとらわれず、メディアとして新しい挑戦ができればと思います。

高橋氏:メディアを、VRに展開してみたいと思っています。どう変わるかは分からないし、変わったものがメディアとして機能するのかも分からないし、つまらないかもしれない。でもこのやってみたいという気持ちをいいものに昇華していくことができれば、ひとつの新しいメディアになるんじゃないかと思っています。

杉本氏:ウェブの人たちはVRに注目していない感じが、なんとなくしています。ウェブはウェブで、いろんな技術が盛り上がっているのですが、「VRはまだまだこれからでしょ?」という雰囲気があるなぁと感じています。そこで私ができることは、とにかく事例をしっかりと見せていくこと。あとは楽しさを伝えていくことかなと、今の時点では思っています。ウェブでVRもできるし、こんなに素晴らしいものなんだよというのを、少しでも伝えていければなと。

上林氏:紙のメディアは情報が限られてしまいます。その少ない情報だからこそ厳選された情報を、大事にしていきたいと思っています。ひとつの事例として、誌面で紹介した企業がベンチャーキャピタルから連絡を受けたという、ちょっとうれしい話もありました。「VRFREEK」に載ることがステータス、みたいなブランド力を作っていければいいなと考えています。

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トークイベント終了後には、ご登壇者、参加者を含めての懇親会も行われました。あちらこちらで名刺交換が行われたり、VRについての熱い議論が交わされていました。

VRブーム」とは言われていますが、現在はまだまだ黎明期ともいえます。しかし今回のイベントでは、VRの明るい未来を予感させてくれるものとなりました。